深川夏眠の備忘録

自称アマチュア小説家の雑記。

ブックレビュー『オルガスマシン』

竹書房文庫のイスラエルSFアンソロジー『シオンズ・フィクション』の帯に 予告が出ていたので、うっすら興味を持っていたところ、 twitterで情報が流れてきたので予約して購入したSF小説 イアン・ワトスン『オルガスマシン』を読了。 ja.wikipedia.org 原著…

ブックレビュー『族長の秋』

『予告された殺人の記録』と同時購入しながら三年以上も寝かせてしまった ガルシア=マルケス『族長の秋』をようやく読了。 秋だから(笑)。 予告された殺人の記録 (新潮文庫) 作者:G. ガルシア=マルケス 発売日: 1997/11/28 メディア: 文庫 ラテンアメリカ…

ブックレビュー『無明長夜』

三島由紀夫「小説とは何か」(1968~1970年:新潮社『波』連載)を 二回読んで(一度目は特に何とも思わなかったが) 二度目(平凡社ライブラリー『幻想小説とは何か』収録)に 「おや?」と思った芥川賞作家・吉田知子の短編集 『無明長夜』を中古で購入、…

ブックレビュー『シオンズ・フィクション』

昨年から(だったかな?)チラホラ噂を聞いていた イスラエルのSFアンソロジーが本当に出た……ので購入、読了。 www.amazon.co.jp シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選 (竹書房新書) 発売日: 2020/09/30 メディア: Kindle版 イスラエルSF&ファンタ…

ブックレビュー『殺人鬼』

横溝正史『殺人鬼』読了。 www.amazon.co.jp ドラマ『池松壮亮×金田一耕助1』再放送を鑑賞し、 原作を読みたくなったので、各編が収録されたこの本を購入。 fukagawa-natsumi.hatenablog.com でも、ブクログ本棚には杉本一文画伯の表紙が出るkindle版を登録…

ブックレビュー『クィア短編小説集』

例によってブクログと重複しますが、こちらの方が情報量が多いです、濃い目。 先日読んだ『医療短編小説集』に既刊案内が出ていて気になったので、 アンソロジー『クィア短編小説集』を購入、読了。 クィア短編小説集 (平凡社ライブラリー) 作者:ドイル,アーサ…

ブックレビュー『医療短編小説集』

平凡社ライブラリー『医療短編小説集』読了。 医療短編小説集 (909) (平凡社ライブラリー) 作者:ウィリアムズ,W.C.,フィッツジェラルド,F.S. 発売日: 2020/09/12 メディア: 新書 文学及びその他エンターテインメントは、 どうして《医療》を取り込むことが多…

ブックレビュー『べろべろの、母ちゃんは……』

前々から気にかけていた出版芸術社《ふしぎ文学館》シリーズ。 遂に手に取ったのは昭和の大官能作家(!)宇能鴻一郎の 初期短編集(1963~1970年)。 純文学からポルノに転向する途上の怪奇幻想系作品全10編。 芥川賞受賞作家とは、 この本を読むに当たって…

ブックレビュー『幻想小説とは何か』

平凡社ライブラリー『幻想小説とは何か:三島由紀夫怪異小品集』読了。 幻想小説とは何か: 三島由紀夫怪異小品集 (906) (平凡社ライブラリー) 作者:由紀夫, 三島 発売日: 2020/08/27 メディア: 新書 三島由紀夫晩年の文学論を中心に、幻想小説をあしらったア…

読みかけ『幻想小説とは何か:三島由紀夫怪異小品集』

昨日の続き。 『幻想小説とは何か:三島由紀夫怪異小品集』 幻想小説とは何か: 三島由紀夫怪異小品集 (906) (平凡社ライブラリー) 作者:由紀夫, 三島 発売日: 2020/08/27 メディア: 新書 Ⅲ 澁澤龍彦とともに(対談・書評・書簡篇)まで読了。 印象的な箇所を…

読みかけ『幻想小説とは何か:三島由紀夫怪異小品集』

ちょうど半分くらいまで読み進めた 『幻想小説とは何か:三島由紀夫怪異小品集』。 幻想小説とは何か: 三島由紀夫怪異小品集 (906) (平凡社ライブラリー) 作者:由紀夫, 三島 発売日: 2020/08/27 メディア: 新書 読了後にも何やら語りたくなるかもしれず、 そ…

ブックレビュー『ストーカー』

ソビエト時代のロシアのSF作家の兄弟、 アルカジイ&ボリス・ストルガツキーの共作『ストーカー』読了。 ストーカー (ハヤカワ文庫 SF 504) 作者:アルカジイ ストルガツキー,ボリス ストルガツキー 発売日: 2014/09/05 メディア: 文庫 タルコフスキーによる…

岸裕子四番勝負(笑)

夜更かしあるあるですが、調べ物をしていて、 気づいたら遠く離れた場所で何やらポチポチ買い物をしてしまった―― という例のアレです。 今回は岸裕子の絶版コミックスを中古で買ったの巻。 ja.wikipedia.org この方も年齢的には紛れもなく24年組のはずですが…

ブックレビュー『夜毎に石の橋の下で』

張り切って買ったのに三年近く寝かせてしまった、 レオ・ペルッツ(1882-1957)のよごはしこと『夜毎に石の橋の下で』を ようやく読了。 ja.wikipedia.org 夜毎に石の橋の下で 作者:レオ・ペルッツ 発売日: 2012/07/25 メディア: 単行本 16世紀末プラハのユ…

ブックレビュー『女の園の星①』

何故か読んでしまった。 女の園の星(1)【電子限定特典付】 (FEEL COMICS swing) 作者:和山やま 発売日: 2020/07/08 メディア: Kindle版 www.amazon.co.jp 主に女子高の国語教諭・星先生(30代男性)目線で描かれる、緩い、というか、ぬるい日々の淡々とし…

ブックレビュー『最後の宴の客』

ボルヘスの編纂による『バベルの図書館』叢書29.ヴィリエ・ド・リラダン『最後の宴の客』、古書を購入し、読了。 今回も良心的価格で助かりました。 象徴主義の代表的人物の一人、フランスの小説家・詩人・劇作家、ジャン=マリ=マティアス=フィリップ=オ…

ブックレビュー『パラケルススの薔薇』

ボルヘス自身の編纂による『バベルの図書館』叢書22.「パラケルススの薔薇」読了。 調べ物をしていて、ふと、 この本にボルヘスの未読の小説が収録されていることを思い出したので 古書を購入(良心的価格でした、ありがたや……)。 パラケルススの薔薇 (バベ…

ブックレビュー『大手拓次詩集』

詩人・文学研究家、原子朗(1924-2017)が手掛けた大手拓次精選詩集の復刊、2018年7月(第4刷)。 大手拓次詩集 (岩波文庫) 作者:大手 拓次 発売日: 1991/11/18 メディア: 文庫 岩波文庫復刊情報を得て喜び勇んで購入しながら二年も寝かせてしまった。 巻…

居留守文庫さんに古書を納入。

阿倍野の古書店《居留守文庫》さんの #自著と蔵書の一箱委託販売 に参加しています。 www.irusubunko.com 自費出版本・私家版と共にセレクト古書を陳列箱に詰めて お店に置いていただくのです。 並んだ古本を目にして「おっ?」と思ったお客さんに、 あわよ…

ブックレビュー『山峡奇談』

購入から半年寝かせて(汗)ようやく河出文庫『山峡奇談』を繙き、読了。 日本文学研究者・志村有弘=編、 古代から昭和初期まで、日本各地に伝わってきた山に関する不思議な話、 怖い話を集めた現代語訳アンソロジー。 山峡奇談 (河出文庫) 発売日: 2020/01…

ブックレビュー『ダブル/ダブル』

昔からタイトルを気にかけつつ、何となく買いそびれていた本を先月ふとしたきっかけで古書店で購入、読了。カナダのマイケル・リチャードソンなる人物による「影」「鏡」「分身」「双子」等々を扱った作品を集めたアンソロジー。 ダブル/ダブル (白水Uブック…

ブックレビュー『花髑髏』

名探偵・由利麟太郎シリーズに一区切りとなりますか、 『花髑髏』読了。 花髑髏 (角川文庫) 作者:横溝 正史 発売日: 2020/06/12 メディア: 文庫 「白蠟変化」 タイトルの読みは「びゃくろうへんげ」。 1936年『講談雑誌』連載。 男女の愛憎入り乱れる中を飄…

ブックレビュー『蝶々殺人事件』

表題作(長編)と短編「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」の計3編収録、 『蝶々殺人事件』を読了。 蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫) 作者:横溝 正史 発売日: 2020/03/24 メディア: Kindle版 「蝶々殺人事件」 戦後再会した探偵・由利麟太郎と新聞…

ブックレビュー『血蝙蝠』

由利先生シリーズのドラマ化に合わせて、 www.ktv.jp 再登場した関連本を購入、まず、この『血蝙蝠』から読み始め。 1938~1941年に発表された短編9編。 血蝙蝠 「由利先生」シリーズ (角川文庫) 作者:横溝 正史 発売日: 2020/05/22 メディア: Kindle版 ネ…

ブックレビュー『青い脂』

1999年に出版されたロシアの作家ウラジーミル・ソローキンの長編SF小説。 青い脂 (河出文庫) 作者:ソローキン,ウラジーミル 発売日: 2016/04/06 メディア: 文庫 青い脂 (河出文庫) 作者:ウラジーミル・ソローキン 発売日: 2016/04/22 メディア: Kindle版 206…

横溝正史『真珠郎』

昔、古本屋さんで買った、当時絶版だった横溝正史『真珠郎』。 真珠郎(旧)表紙 真珠郎(旧)カバー折り返し 映画のPRに時代を感じますな。 これは購入の時点でかなり傷んでいましたが、 慎重に慎重に……ページを捲って読んだものでした。 由利先生シリーズ…

ブックレビュー『蒼い迷宮』

原題は Freezing Point 。デンマークの作家アーナス・ボーデルセンのディストピアSF小説、但し、英語版からの重訳。1970年代前半に透視された、近未来の医療と人間の生き方について。 蒼い迷宮 (角川文庫) 作者:アーナス ボーデルセン メディア: 文庫 Amazon…

ブックレビュー『すべては消えゆく』

アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ(1909-1991)最晩年の掌・短・中編をピックアップした新訳版『すべては消えゆく』を読了。 すべては消えゆく マンディアルグ最後の傑作集 (光文社古典新訳文庫 Aマ 5-1) 作者:マンディアルグ 発売日: 2020/04/14 メ…

ブックレビュー『去勢』

イギリスの作家・評論家、 キングズリー・エイミス(Kingsley Amis)の改変世界SF小説 『去勢』を読了。 著者名は日本語の表記のブレによっていくつかのカタカナ表記があるが、 本書ではキングズリイ・エイミス。 1976年発表、原題は Alteration(変更,改変…

ブックレビュー『吸血鬼に手を出すな』

1942年ロサンジェルス、私立探偵トビー・ピータースは気味の悪い悪戯に悩まされる吸血鬼俳優ベラ・ルゴシのボディガードになったが……。 吸血鬼に手を出すな (文春文庫) 作者:ステュアート カミンスキー メディア: 文庫 冴えない中年探偵の活躍を描くシリーズ…