深川夏眠の備忘録

自称アマチュア小説家の雑記。

読書

ブックレビュー『極地の空』

ベルナルド・ベルトルッチ監督の映画『シェルタリング・スカイ』の 原作として知られるポール・ボウルズ『極地の空』読了。 ja.wikipedia.org ――というか、そもそも小説の原題が The Sheltering Sky 。Wikipediaによると、映画には作者も出演したとか。 ja.w…

ブックレビュー『19世紀イタリア怪奇幻想短篇集』

光文社古典新訳文庫の『19世紀イタリア怪奇幻想短篇集』を購入、読了。 19世紀イタリア怪奇幻想短篇集 (光文社古典新訳文庫) 発売日: 2021/01/12 メディア: 文庫 編訳者によれば、リアリズムが重んじられたために発展が遅れたものの、 19世紀半ば、E.A.ポオ…

ブックレビュー『かくれんぼ(・毒の園)』

ロシア象徴主義の詩人・小説家・劇作家 フョードル・ソログープ(1863-1927)の短編集、 岩波文庫『かくれんぼ・毒の園』を久しぶりに手に取った。 ja.wikipedia.org かくれんぼ・毒の園 他五篇 (岩波文庫) 作者:ソログープ 発売日: 2013/03/15 メディア: 文…

ブックレビュー『コンラッド短篇集』

映画『地獄の黙示録』の原案『闇の奥』が あまりにも有名なコンラッド(1857-1924)の短編集。 20世紀初頭に発表された6編は、 いずれも人の心の襞に潜むものを洗い出すかのようなストーリーであり、 また、後年の長編への布石とも受け取れる設定も存在する…

ブックレビュー『真珠郎』

(短めの)長編「真珠郎」(1936~1937年)と短編「孔雀屏風」(1940年)の 二編を収録した文庫の改版(2019年5月)を読了。 www.amazon.co.jp 真珠郎 「由利先生」シリーズ (角川文庫) 作者:横溝 正史 発売日: 2018/11/22 メディア: Kindle版 旧版で2~3…

ブックレビュー『ムーミン谷の冬』

岩波書店『図書』で連載された(2017~2019年) 冨原眞弓「ミンネのかけら」にて、 かつてスウェーデン滞在中にムーミンシリーズの原書と出会い、 自ら邦訳すべくスウェーデン語を習得し、トーヴェ・ヤンソンに許可を得た…… という思い出が開陳されていて、…

ブックレビュー『真夏の死』

大晦日は何も書けなさそうと言っておきながら、 本を読み終えたのでレビューなぞ。 新装版『真夏の死』を堪能。 著者自身による解説付き、1946年~1963年に発表された短中編、全11編。 バラエティに富んでいるが、いずれもどこかシニカルな味わい。 真夏の死…

ブックレビュー『サド侯爵夫人・わが友ヒットラー』

特に愛好者というわけでもないのですが、何となくプチ三島祭り状態。 1960年代の戯曲2作を収録した 『サド侯爵夫人・わが友ヒットラー』新装版を購入、読了。 ブクログに書いたらクドイかも……と思われる長めの投稿です。 サド侯爵夫人・わが友ヒットラー (…

ブックレビュー『オルガスマシン』

竹書房文庫のイスラエルSFアンソロジー『シオンズ・フィクション』の帯に 予告が出ていたので、うっすら興味を持っていたところ、 twitterで情報が流れてきたので予約して購入したSF小説 イアン・ワトスン『オルガスマシン』を読了。 ja.wikipedia.org 原著…

ブックレビュー『族長の秋』

『予告された殺人の記録』と同時購入しながら三年以上も寝かせてしまった ガルシア=マルケス『族長の秋』をようやく読了。 秋だから(笑)。 予告された殺人の記録 (新潮文庫) 作者:G. ガルシア=マルケス 発売日: 1997/11/28 メディア: 文庫 ラテンアメリカ…

ブックレビュー『無明長夜』

三島由紀夫「小説とは何か」(1968~1970年:新潮社『波』連載)を 二回読んで(一度目は特に何とも思わなかったが) 二度目(平凡社ライブラリー『幻想小説とは何か』収録)に 「おや?」と思った芥川賞作家・吉田知子の短編集 『無明長夜』を中古で購入、…

ブックレビュー『シオンズ・フィクション』

昨年から(だったかな?)チラホラ噂を聞いていた イスラエルのSFアンソロジーが本当に出た……ので購入、読了。 www.amazon.co.jp シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選 (竹書房新書) 発売日: 2020/09/30 メディア: Kindle版 イスラエルSF&ファンタ…

ブックレビュー『殺人鬼』

横溝正史『殺人鬼』読了。 www.amazon.co.jp ドラマ『池松壮亮×金田一耕助1』再放送を鑑賞し、 原作を読みたくなったので、各編が収録されたこの本を購入。 fukagawa-natsumi.hatenablog.com でも、ブクログ本棚には杉本一文画伯の表紙が出るkindle版を登録…

ブックレビュー『クィア短編小説集』

例によってブクログと重複しますが、こちらの方が情報量が多いです、濃い目。 先日読んだ『医療短編小説集』に既刊案内が出ていて気になったので、 アンソロジー『クィア短編小説集』を購入、読了。 クィア短編小説集 (平凡社ライブラリー) 作者:ドイル,アーサ…

ブックレビュー『医療短編小説集』

平凡社ライブラリー『医療短編小説集』読了。 医療短編小説集 (909) (平凡社ライブラリー) 作者:ウィリアムズ,W.C.,フィッツジェラルド,F.S. 発売日: 2020/09/12 メディア: 新書 文学及びその他エンターテインメントは、 どうして《医療》を取り込むことが多…

ブックレビュー『べろべろの、母ちゃんは……』

前々から気にかけていた出版芸術社《ふしぎ文学館》シリーズ。 遂に手に取ったのは昭和の大官能作家(!)宇能鴻一郎の 初期短編集(1963~1970年)。 純文学からポルノに転向する途上の怪奇幻想系作品全10編。 芥川賞受賞作家とは、 この本を読むに当たって…

ブックレビュー『幻想小説とは何か』

平凡社ライブラリー『幻想小説とは何か:三島由紀夫怪異小品集』読了。 幻想小説とは何か: 三島由紀夫怪異小品集 (906) (平凡社ライブラリー) 作者:由紀夫, 三島 発売日: 2020/08/27 メディア: 新書 三島由紀夫晩年の文学論を中心に、幻想小説をあしらったア…

読みかけ『幻想小説とは何か:三島由紀夫怪異小品集』

昨日の続き。 『幻想小説とは何か:三島由紀夫怪異小品集』 幻想小説とは何か: 三島由紀夫怪異小品集 (906) (平凡社ライブラリー) 作者:由紀夫, 三島 発売日: 2020/08/27 メディア: 新書 Ⅲ 澁澤龍彦とともに(対談・書評・書簡篇)まで読了。 印象的な箇所を…

読みかけ『幻想小説とは何か:三島由紀夫怪異小品集』

ちょうど半分くらいまで読み進めた 『幻想小説とは何か:三島由紀夫怪異小品集』。 幻想小説とは何か: 三島由紀夫怪異小品集 (906) (平凡社ライブラリー) 作者:由紀夫, 三島 発売日: 2020/08/27 メディア: 新書 読了後にも何やら語りたくなるかもしれず、 そ…

ブックレビュー『ストーカー』

ソビエト時代のロシアのSF作家の兄弟、 アルカジイ&ボリス・ストルガツキーの共作『ストーカー』読了。 ストーカー (ハヤカワ文庫 SF 504) 作者:アルカジイ ストルガツキー,ボリス ストルガツキー 発売日: 2014/09/05 メディア: 文庫 タルコフスキーによる…

ブックレビュー『夜毎に石の橋の下で』

張り切って買ったのに三年近く寝かせてしまった、 レオ・ペルッツ(1882-1957)のよごはしこと『夜毎に石の橋の下で』を ようやく読了。 ja.wikipedia.org 夜毎に石の橋の下で 作者:レオ・ペルッツ 発売日: 2012/07/25 メディア: 単行本 16世紀末プラハのユ…

ブックレビュー『女の園の星①』

何故か読んでしまった。 女の園の星(1)【電子限定特典付】 (FEEL COMICS swing) 作者:和山やま 発売日: 2020/07/08 メディア: Kindle版 www.amazon.co.jp 主に女子高の国語教諭・星先生(30代男性)目線で描かれる、緩い、というか、ぬるい日々の淡々とし…

ブックレビュー『最後の宴の客』

ボルヘスの編纂による『バベルの図書館』叢書29.ヴィリエ・ド・リラダン『最後の宴の客』、古書を購入し、読了。 今回も良心的価格で助かりました。 象徴主義の代表的人物の一人、フランスの小説家・詩人・劇作家、ジャン=マリ=マティアス=フィリップ=オ…

ブックレビュー『羊の木』

ずっと頭の隅で気にかけながら、何となく手を出しそびれていたマンガをまとめ買い。 タイトルは主人公の職場=市長室に飾られた絵に由来。魚深(うおぶか)市長の鳥原の家に受け継がれてきたもので、昔のヨーロッパで未知の綿花を「羊の生る木」だと想像して…

ブックレビュー『パラケルススの薔薇』

ボルヘス自身の編纂による『バベルの図書館』叢書22.「パラケルススの薔薇」読了。 調べ物をしていて、ふと、 この本にボルヘスの未読の小説が収録されていることを思い出したので 古書を購入(良心的価格でした、ありがたや……)。 パラケルススの薔薇 (バベ…

ブックレビュー『大手拓次詩集』

詩人・文学研究家、原子朗(1924-2017)が手掛けた大手拓次精選詩集の復刊、2018年7月(第4刷)。 大手拓次詩集 (岩波文庫) 作者:大手 拓次 発売日: 1991/11/18 メディア: 文庫 岩波文庫復刊情報を得て喜び勇んで購入しながら二年も寝かせてしまった。 巻…

ブックレビュー『山峡奇談』

購入から半年寝かせて(汗)ようやく河出文庫『山峡奇談』を繙き、読了。 日本文学研究者・志村有弘=編、 古代から昭和初期まで、日本各地に伝わってきた山に関する不思議な話、 怖い話を集めた現代語訳アンソロジー。 山峡奇談 (河出文庫) 発売日: 2020/01…

ブックレビュー『ダブル/ダブル』

昔からタイトルを気にかけつつ、何となく買いそびれていた本を先月ふとしたきっかけで古書店で購入、読了。カナダのマイケル・リチャードソンなる人物による「影」「鏡」「分身」「双子」等々を扱った作品を集めたアンソロジー。 ダブル/ダブル (白水Uブック…

ブックレビュー『花髑髏』

名探偵・由利麟太郎シリーズに一区切りとなりますか、 『花髑髏』読了。 花髑髏 (角川文庫) 作者:横溝 正史 発売日: 2020/06/12 メディア: 文庫 「白蠟変化」 タイトルの読みは「びゃくろうへんげ」。 1936年『講談雑誌』連載。 男女の愛憎入り乱れる中を飄…

ブックレビュー『蝶々殺人事件』

表題作(長編)と短編「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」の計3編収録、 『蝶々殺人事件』を読了。 蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫) 作者:横溝 正史 発売日: 2020/03/24 メディア: Kindle版 「蝶々殺人事件」 戦後再会した探偵・由利麟太郎と新聞…