深川夏眠の備忘録

自称アマチュア小説家の雑記。

SF

ブックレビュー『夢みる宝石』(新訳)

スタージョン『夢みる宝石(The Dreaming Jewels,1950)』新訳を読了。 寂しがり屋の人間嫌い、ないものねだりの変人スタージョン(←個人の見解です)の 処女長編……というほど長くはないSF幻想ビルドゥングスロマン。 夢みる宝石 (ちくま文庫 す-31-1) 作者:…

映画鑑賞記『アステロイド・シティ』

挑もうか? 【集結した“超秀才”の一人クリフォードの口癖】 監督の過去作は何となく気にかけながら未見……。 が、今作は劇場で予告を見て、どうしても鑑賞したくなったので映画館へ。 行ってよかった(ほっこり)。 asteroidcity-movie.com ペラ1に見えるか…

ブックレビュー『ギリシャSF傑作選~ノヴァ・ヘラス』

順序が逆になりましたが、 『ギリシャ・ミステリ傑作選~無益な殺人未遂への想像上の反響』に続いて 『ギリシャSF傑作選~ノヴァ・ヘラス』読了。 fukagawa-natsumi.hatenablog.com ギリシャ・ミステリ傑作選 無益な殺人未遂への想像上の反響 (竹書房文庫 ぽ…

Romancer&くるっぷ更新情報。

カクヨム《KAC2023》第四弾=KAC20234〈深夜の散歩で起きた出来事〉参加作 「ノクタンビュール」をRomancer『月と吸血鬼の遁走曲(フーガ)』と くるっぷ に放り込みました。 雰囲気画はMidjourney有料版で作成。 SF(すこし・ふしぎ)ショートショート「ノ…

新作≠小説。

突然ですが短歌を詠みました。 二十首連作で総タイトルは『緑青(ろくしょう)通信』。 kakuyomu.jp 短歌集『緑青通信』雰囲気画。蝶は青がよかったけどな……。 31×20=620文字で短いドラマを演出できれば……と考え、編んでみました。 一首ごとにイメージ画を…

最新ショートショート公開

スルーする気満々だったKAC20234〈深夜の散歩で起きた出来事〉 ……間に合っちゃいました。 kakuyomu.jp kakuyomu.jp kotobank.jp SF掌編「ノクタンビュール」イメージ画。 雰囲気画でネタバレなすこし・ふしぎなショートショートです。 お楽しみいただけまし…

Romancer掲載作表紙リニューアル(その9)。

早いものでMidjourney有料版を使っての Romancer表紙貼り替えも九枚目。 今回はネット公開最古参の短編『暗射地図』。 romancer.voyager.co.jp Ⓒ Natsumi Fukagawa & Midjourney(って書けばいいのよサね?) 忌まわしい犯罪にまつわる記憶を消され、 吟遊詩…

ブックレビュー『羅陵王』

そう言えば読んでいなかったと、 ふと思い出した絶版本を中古で購入(1988年第2刷)。 しかし、目を通してみたら、 もしかして既に読んだことがあったのでは……という気がしてきた。 それはさておき。 1980年代半ばに発表されたSF短編、全4編収録、 佐藤史…

ブックレビュー『阿呆船』

今頃ですが(この切り出し方、多いな、我ながら) 買いそびれていた漫画をようやく入手できたのです。 気づいたときには中古価格が高騰していた絶版本を、 先日運よく然程でもない値段でゲットしました(1985年第3刷)。 1970年代末~1980年代初めに雑誌に…

ブックレビュー『アウトサイダー』

南條竹則先生による新訳ラヴクラフトシリーズの3冊目 『アウトサイダー』読了。 アウトサイダー―クトゥルー神話傑作選―(新潮文庫) 作者:H・P・ラヴクラフト 新潮社 Amazon 最も好きな作品は既刊に収録されているので、もう買わなくてもいいか、 創元推理…

ちばひさと四番勝負!【前編】

古いマンガ一人思い出し祭を経て、 未読作が気になったので絶版につき中古品を探すという、 ワタクシあるあるの巻。 今回はちばひさと。 検索してもまとまったデータが出てこないので、 手持ちの書籍に記された情報を信じるしかない――ということで、 ずっと…

最新ショートショート公開。

体調がすぐれず仮眠を取ろうと横になったら思いついた しょーもない話を綴ってみました。 日常生活の中で積み重なった鬱憤を晴らすべく、 ちょいと怒りをぶつけた格好になりましたね。 とある分譲マンションの管理組合で採択された、 迷惑なポスティングを撃…

ブックレビュー『J.G.バラード短編全集』④「下り坂カーレースにみたてたジョン・フィッツジェラルド・ケネディ暗殺事件」

アンソロジー『疫病短編小説集』を読み、 疫病短編小説集 (915) (平凡社ライブラリー き 15-1) 作者:R.キプリング,K.A.ポーター 平凡社 Amazon 「集中ケアユニット」に衝撃を受けて、 長年何となく難解そうだからと手を出しかねていた J.G.バラードの短編全…

ブックレビュー『愛はさだめ、さだめは死』

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『愛はさだめ、さだめは死』読了。 愛はさだめ、さだめは死 (ハヤカワ文庫SF) 作者:ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 早川書房 Amazon 今頃古い本を買ったのは、とり・みき大先生の『SF大将』のせいだった。 booklog.j…

ブックレビュー『J.G.バラード短編全集』③「終着の浜辺」

アンソロジー『疫病短編小説集』を読み、 疫病短編小説集 (915) (平凡社ライブラリー き 15-1) 作者:R.キプリング,K.A.ポーター 平凡社 Amazon 「集中ケアユニット」に衝撃を受けて、 長年何となく難解そうだからと手を出しかねていた J.G.バラードの短編全…

ブックレビュー『フランケンシュタイン伝説』

フランケンシュタイン伝説―海外ホラーSF短篇集 ジャストシステム Amazon メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』を鼻祖として 脈々と語り継がれる人造人間の恐怖を扱ったホラー・アンソロジー全12編。 書肆鯖さんHPをウロウロしていたら目についたので…

ブックレビュー『残虐行為展覧会』

ちょっぴりJ.G.バラードにハマッて手を出した中古本、 『残虐行為展覧会《改訂版》』。 残虐行為展覧会 作者:J.G.バラード 工作舎 Amazon 残虐行為展覧会 (1980年) 作者:J.G.バラード Amazon ja.wikipedia.org 1960年代後半に書かれた短編をまとめた作品集(…

ブックレビュー『J.G.バラード短編全集』②「歌う彫刻」

アンソロジー『疫病短編小説集』を読み、 疫病短編小説集 (915) (平凡社ライブラリー き 15-1) 作者:R.キプリング,K.A.ポーター 平凡社 Amazon 「集中ケアユニット」に衝撃を受けて、 長年何となく難解そうだからと手を出しかねていた J.G.バラードの短編全…

ブックレビュー(?)『不思議な国のラプソディ』

古い本でAmazonに情報がなかったためか ブクログ検索でヒットしなかったアイテムが 長い時間を経てお目見えしたので、ようやく登録。 不思議な国のラプソディ 海外SF傑作選 講談社文庫 福島正実 編 作者:福島 正実 ノーブランド品 Amazon 画像はありません …

ブックレビュー『J.G.バラード短編全集』①「時の声」

アンソロジー『疫病短編小説集』を読み、 疫病短編小説集 (915) (平凡社ライブラリー き 15-1) 作者:R.キプリング,K.A.ポーター 発売日: 2021/03/12 メディア: 新書 「集中ケアユニット」に衝撃を受けて、 長年何となく難解そうだからと手を出しかねていた J…

最新掌編「スナップショット」公開!

カクヨムで開催中のKAC2021の七つめのお題に挑戦したものの、 まさかの遅刻……失格……onz kakuyomu.jp kakuyomu.jp 頑張って書いていましたが、チョイチョイ邪魔が入って――って、 ヒトのせいにしてはいけませんね(汗)――あと少し時間が足りず、 脱稿→公開の瞬…

ブックレビュー『オルガスマシン』

竹書房文庫のイスラエルSFアンソロジー『シオンズ・フィクション』の帯に 予告が出ていたので、うっすら興味を持っていたところ、 twitterで情報が流れてきたので予約して購入したSF小説 イアン・ワトスン『オルガスマシン』を読了。 ja.wikipedia.org 原著…

ブックレビュー『シオンズ・フィクション』

昨年から(だったかな?)チラホラ噂を聞いていた イスラエルのSFアンソロジーが本当に出た……ので購入、読了。 www.amazon.co.jp シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選 (竹書房新書) 発売日: 2020/09/30 メディア: Kindle版 イスラエルSF&ファンタ…

ブックレビュー『ストーカー』

ソビエト時代のロシアのSF作家の兄弟、 アルカジイ&ボリス・ストルガツキーの共作『ストーカー』読了。 ストーカー (ハヤカワ文庫 SF 504) 作者:アルカジイ ストルガツキー,ボリス ストルガツキー 発売日: 2014/09/05 メディア: 文庫 タルコフスキーによる…

ブックレビュー『青い脂』

1999年に出版されたロシアの作家ウラジーミル・ソローキンの長編SF小説。 青い脂 (河出文庫) 作者:ソローキン,ウラジーミル 発売日: 2016/04/06 メディア: 文庫 青い脂 (河出文庫) 作者:ウラジーミル・ソローキン 発売日: 2016/04/22 メディア: Kindle版 206…

ブックレビュー『去勢』

イギリスの作家・評論家、 キングズリー・エイミス(Kingsley Amis)の改変世界SF小説 『去勢』を読了。 著者名は日本語の表記のブレによっていくつかのカタカナ表記があるが、 本書ではキングズリイ・エイミス。 1976年発表、原題は Alteration(変更,改変…

ブックレビュー『完全な真空』

文庫化されて飛びついた、架空の本の書評群という体裁のメタフィクション短編集『完全な真空』(1971年)。 完全な真空 (河出文庫) 作者:スタニスワフ・レム 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2020/01/07 メディア: 文庫 順序が逆で、 後から刊行され…

ブックレビュー『月の部屋で会いましょう』

アンソロジー『猫は宇宙で丸くなる』解説で、選に漏れた一編として、レイ・ヴクサヴィッチ「キャッチ」が挙げられていたので、興味を持って購入、読了。 猫SF傑作選 猫は宇宙で丸くなる (竹書房文庫) 作者:シオドア・スタージョン,フリッツ・ライバー,他 出…

ブックレビュー『蠅』

早川書房の異色作家短篇集ラインナップを見ていて、まだ買えるだろうかと探ってみたら新品で手に入った、ジョルジュ・ランジュラン(1908-1972)『蠅』。名前からしてフランス人だと思っていたが、バイリンガルで、フランス語で小説を書いたイギリス人だった…

ブックレビュー『一角獣・多角獣』

SFアンソロジー『猫は宇宙で丸くなる』の解説で、選に漏れた一編としてスタージョン「ふわふわちゃん」が挙がっていたので、また手に取った。 一角獣・多角獣 (異色作家短篇集) 作者: シオドアスタージョン,Theodore Sturgeon,小笠原豊樹 出版社/メーカー: …