竹書房文庫のイスラエルSFアンソロジー『シオンズ・フィクション』の帯に
予告が出ていたので、うっすら興味を持っていたところ、
twitterで情報が流れてきたので予約して購入したSF小説
原著は古く、1976年刊行、但し、本国イギリスでの出版は叶わず、
フランス語版とポルトガル語版が先に出たという。
その後、紆余曲折を経て刊行された日本語版の文庫化。
男にしか通常の人権が認められていない社会に、
様々な要望を満たすべく性の道具として生み出された
デザイナーベビー(♀)の物語。
誰かの《愛人》となって、
それなりに愉快に暮らせると高をくくっていた彼女ら
「カスタムメイド・ガール」たちが、男は女に愛情を持たず、
ただ消費するだけという現実を知って絶望し、結託し、反乱を起こす。
抑圧された女性が解放されるというプロットの小説が
現代においてクローズアップされる意義はよくわかるのだが、
期待したほど高尚でも下劣でもなかったので拍子抜け。
これが過激な内容だろうかと首を傾げた。
設定は異様だけれども、恐らく――その方面には全然詳しくないのだが――
日本の官能小説や成人向けコミックの方が遙かに頭がおかしくて(←コラ!)
フェティッシュで、ひねくれているのではなかろうかと思うし、
状況の異様さが生々しく描かれている点では
マーガレット・アトウッド『侍女の物語』こそ、余程
読んでいて気分が悪くなる、といったところ。
あとがき等によれば、作者は日本で暮らしていた頃、
島の研究所で人為的に新たな生命が生み出される物語を着想したとか。
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登場人物の誰にも感情移入できなかったので、
ドキドキワクワク感も得られなかった。
訳文が小説として“こなれていない”印象を受けるせいか。
もしかして、同じ内容でコミカライズされたら、
そっちの方が出来がよく見える、なんてことはないだろうか……。
ただ、作者の妻ジュディ・ワトスンのイラストはヘタウマでカワイイので☆3つ。
読んでいてヤプーズ「バーバラ・セクサロイド」を思い出したが、
人造人間と言っても、あれはニュアンスが違うからなぁ。