深川夏眠の備忘録

自称アマチュア小説家の雑記。

ブックレビュー『女の園の星①』

何故か読んでしまった。

 

 

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主に女子高の国語教諭・星先生(30代男性)目線で描かれる、
緩い、というか、ぬるい日々の淡々とした情景。
星先生は仕事熱心でナイーヴ。
自問自答が止まらないタイプで、
常に外的世界と内的世界を行き来しながら暮らしている
――というのは、誰にでも当て嵌まることなのだが、
彼の場合は飛躍と着地の加減が極端で、そこが笑いを誘う。
そんな心理描写がわかりやすく画像化されるのは
マンガならではの表現だな、と感心。
これが映像になると付加情報が多くなるので、
独特の旨味が減殺されてしまう気がする。

 

端正にして陰影に富んだ独特の画風は、
ページを捲ると恐ろしい、おぞましい、
あるいはインモラルな出来事が待ち受けているのでは……と、
期待と嫌悪感を同時にそそるのだが、
人の心を無惨に抉るような展開にはならないので、
肩透かしを食った(←何を期待していたのか)。
が、同時に、
そもそも一々「空気を読む」だなんてことを考えもしない

無邪気なお嬢さんたちが着かず離れず、絶妙な距離感で息をしていて、
そこには悪意という名の毒も存在せず、
自分自身も他者をも傷つけるのをよしとしない「のっぺり」「ツルッとした」

優しい、平板でひんやりした世界が広がっていて、
漠然と「ああ、これが令和か」などと感じつつ、
ところどころキラーフレーズでお茶を噴かされたのだった。

 

授業中にマンガを描いていた生徒の、問題の作品を読んでしまい、

話が取っ散らかり過ぎているので、

漫研出身者として捨て置けぬと思った星先生が

ストーリーの構築に協力するくだりとか、絶妙におかしい(笑)。

曰く「ミステリーすぎます 色々な要素を詰め込みすぎてカオスです」(p.90)

とか。

 

ちなみに、ウチの亭主は、

残業中の様子に時計が描き込まれていて、

時刻が20:30少し前(p.24等)である点を見て、

「そこそこブラックな職場だ(苦笑)」と。
だって、始業時刻が早いですもんね……(笑)。

 

面白いけど、でもねぇ、本当は流行りものに踊らされたくない主義なんだ。

最小公倍数に取り込まれたくないんだよ(涙目)。

 

全然関係ないけど、やっぱりマンガはドドーンと、

「おらといっしょにぱらいそさいぐだ!!」

みたいなヤツが好きなんだよねぇ……。