ソビエト時代のロシアのSF作家の兄弟、
アルカジイ&ボリス・ストルガツキーの共作『ストーカー』読了。
タルコフスキーによる映画化が有名……と言いつつ今のところ未見だが。
地球を訪れ、地球人と接触しないまま去った異星人の《来訪》から13年。
国際地球外文化研究所によって厳重に警戒・管理される《来訪ゾーン》に
不法侵入し、異星人が残した物品を持ち出しては売り捌く《ストーカー》の物語。
タイトル stalker は現在一般的な他人に付きまとう者の意ではなく、
「隈なく見て回る者」「巡回する者」のこと。
沖縄の人、また、
沖縄が大好きな他県民には「≒戦果アギヤー」と言えば通りがいいだろうか。
国際地球外文化研究所ハーモント支所実験助手レドリック・シュハルト23歳は、
副業として《ストーカー》業で稼いでいるが、恋人グータが妊娠。
二人は結婚したが、愛娘マリヤの外見は普通の子供と違っていた。
ノーベル物理学賞受賞者ワレンチン・ピルマン博士の考察によれば、
長期間《ゾーン》と関係する人間は遺伝子的な変化を被っているらしい……。
原題「Пикник на обочине(路傍のピクニック)」は、
地球人とコンタクトしたかったのか、どうなのか、
はっきりしないまま引き揚げてしまった異星人の行為を指している。
彼らは地球を侵略しようとしたのでも、
地球人と友好的に交流したかったわけでもなく、
単に行き掛かった場所でしばしピクニックを楽しみ、
とてつもないゴミを不法投棄して去っただけだったのではないか――という。
もしかしたら、異星人の目的は、
膨大で異様な――使い方次第では大いに役立ちもする――
ゴミの山を巡って右往左往し、争いを起こし、
重傷を負ったり命を落としたりする地球人の様子を
宇宙空間から観察することだったのかもしれない。
案外、単なる娯楽として。
マクロな視点で見れば、人間の日々の営みなぞ
這い回る虫の生き様と大して変わらないだろうから。
ところで、映画『ストーカー』で主人公の妻グータを演じた女優
アリーサ・フレインドリフが出演した別の作品は観たことがあるのです。
ヴァレーリー・トドロフスキー監督『恋愛小説(Katia Ismaïlova)』。
人気作家の役で、その息子の妻が
彼女の原稿をタイプライターで清書する幸薄いヒロイン。
演じたのはインゲボルガ・ダプコウナイテ(ダクネイト)。
また観たいけれど……DVD化されていないのね、しくしく(泣)。
“共犯者”同士が“後始末”の後に疲れ切って茫然とバスタブに浸かるシーンが好き。