平凡社ライブラリー『幻想小説とは何か:三島由紀夫怪異小品集』読了。
三島由紀夫晩年の文学論を中心に、幻想小説をあしらったアンソロジー。
と重複するコンテンツが多いので、既読の人には物足りないだろうが、
対談・書評・書簡篇「澁澤龍彦とともに」のために
買う価値はある……かもしれない。
構成は以下のとおり。
Ⅰ 幻想と怪奇に魅せられて(小説篇)
「仲間」「朝顔」「卵」「緑色の夜」「鵲」「花山院」
「黒島の王の物語の一場面」「伝説」「檜扇」
Ⅱ 王朝夢幻、鏡花の縁(戯曲篇)
「屍人と宝」「あやめ」「狐会菊有明」
Ⅲ 澁澤龍彦とともに(対談・書評・書簡篇)
「鏡花の魅力」「タルホの世界」「澁澤龍彦氏のこと」「現代偏奇館」
「デカダンスの聖書」「澁澤龍彦訳『マルキ・ド・サド選集』序」
「人間理性と悪」「恐しいほど明晰な伝記」「サド侯爵夫人について」
「澁澤龍彦宛書簡集」
Ⅳ 怪奇幻想文学入門(評論篇)
「本のことなど」「雨月物語について」「柳田國男『遠野物語』」
「無題」(1964年,塔晶夫=中井英夫『虚無への供物』広告文)
「稲垣足穂頌」「解説『日本の文学4 尾崎紅葉・泉鏡花』」
「解説『日本の文学34 内田百閒・牧野信一・稲垣足穂』」「二種類のお手本」
「小説とは何か」
fukagawa-natsumi.hatenablog.com
fukagawa-natsumi.hatenablog.com
既読のパートにも新しい発見があったので、今後の読書の寄る辺としたい。
ところで、お手元にこの本をお持ちの方は
中川学さんの美しい表紙をとくとご覧あれ。
シブサワもおるでよ(笑)。
【引用 p.279】二種類のお手本(1959年:中央公論新社)
> 鷗外は大長篇というものを一生のうち書きませんでした。
> 非常に知的な明晰な人はあまり大作を書けないのではないかと
> 疑われるふしがあります。
> ポール・ヴァレリーには数巻も続くような大作はありませんし、
> もし世界が彼の頭脳のなかで、
> あまりにも明晰に簡素な形に圧縮されているならば、
> 紙数をつくすことは無駄であり、言葉そのものが無駄であります。
( ˘ω˘ ) .。oO(ボルヘスもそうですよね~)
( ˘ω˘ ) .。oO(長い=努力している、エライみたいな風潮って何やねんな……)
そうそう、「小説とは何か」で三島が激賞していたバタイユ『聖なる神』も
読みました。
映画版はまだですが……(ぐぬぬ)。
で、今回のまとめ。
【引用 p.253】
> しかし創るという行為が面白さを減殺しない工夫というものはないものですかね。