深川夏眠の備忘録

自称アマチュア小説家の雑記。

読書

ブックレビュー『J.G.バラード短編全集』④「下り坂カーレースにみたてたジョン・フィッツジェラルド・ケネディ暗殺事件」

アンソロジー『疫病短編小説集』を読み、 疫病短編小説集 (915) (平凡社ライブラリー き 15-1) 作者:R.キプリング,K.A.ポーター 平凡社 Amazon 「集中ケアユニット」に衝撃を受けて、 長年何となく難解そうだからと手を出しかねていた J.G.バラードの短編全…

ブックレビュー『愛はさだめ、さだめは死』

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『愛はさだめ、さだめは死』読了。 愛はさだめ、さだめは死 (ハヤカワ文庫SF) 作者:ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 早川書房 Amazon 今頃古い本を買ったのは、とり・みき大先生の『SF大将』のせいだった。 booklog.j…

ブックレビュー『黒衣聖母』

編者解説に曰く(p.350) > ミステリが探偵小説と呼ばれていた時代(大正期から昭和二十年代まで) > に活躍した作家の作品を対象にした > 光文社文庫の新シリーズ《探偵くらぶ》第二弾 芥川龍之介短編集『黒衣聖母』を読了。 黒衣聖母 (探偵くらぶ) 作者:芥…

ブックレビュー『黄(ウォン)夫人の手』

岩波書店『図書』の連載、四方田犬彦「大泉黒石」を愛読していて、 肝心の作品が気になったので、現在比較的入手が容易な古書を購入。 それなりにおどろおどろしいものを期待していたが、 意外にアッサリ、薄味の(?)選集だった。 黄(ウォン)夫人の手 ---…

ブックレビュー『コンクリート・アイランド』

J.G.バラード《テクノロジー三部作》を、適当な順に全部読んだ。 fukagawa-natsumi.hatenablog.com fukagawa-natsumi.hatenablog.com 最後は『コンクリート・アイランド』。 これは絶版につき古書購入(少々高くついた……)。 コンクリート・アイランド 作者:…

ブックレビュー『クラッシュ』

遅蒔きながらJ・G・バラード『クラッシュ』読了。 SFではないがSF文庫。 クラッシュ (創元SF文庫) 作者:J.G. バラード 東京創元社 Amazon テレビCMプロデューのジェイムズ・バラード(!)40歳は、 六月の夕暮れ、雨上がりの高速道路を走行中、車をスリ…

ブックレビュー『J.G.バラード短編全集』③「終着の浜辺」

アンソロジー『疫病短編小説集』を読み、 疫病短編小説集 (915) (平凡社ライブラリー き 15-1) 作者:R.キプリング,K.A.ポーター 平凡社 Amazon 「集中ケアユニット」に衝撃を受けて、 長年何となく難解そうだからと手を出しかねていた J.G.バラードの短編全…

ブックレビュー『ハイ・ライズ』

股上の深いジーンズの話……ではない。 pants.jp J.G.バラードの短めの長編『ハイ・ライズ(HIGH-RISE)』読了。 ja.wikipedia.org ハイ・ライズ (創元SF文庫) 作者:J・G・バラード 東京創元社 Amazon ハイ・ライズ (創元SF文庫) 作者:J・G・バラード 東京…

ブックレビュー『殺す』

J.G.バラード『殺す』読了。 物騒な邦題だが、原題は “running wild”。 最初からヒントが出ていた(笑)。 ejje.weblio.jp 殺す (創元SF文庫) (創元SF文庫) 作者:J・G・バラード 東京創元社 Amazon SFではなくミステリ中編。 異常な事件の発生から二ヶ月…

ブックレビュー『フランケンシュタイン伝説』

フランケンシュタイン伝説―海外ホラーSF短篇集 ジャストシステム Amazon メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』を鼻祖として 脈々と語り継がれる人造人間の恐怖を扱ったホラー・アンソロジー全12編。 書肆鯖さんHPをウロウロしていたら目についたので…

ブックレビュー『須永朝彦小説選』

今年5月に没した耽美幻想派の作家の作品から 山尾悠子がセレクトした逸品集、ちくま文庫『須永朝彦小説選』読了。 高額な中古の全集に手を出さなくてよかった(笑)。 須永朝彦小説選 (ちくま文庫) 作者:須永 朝彦 筑摩書房 Amazon ja.wikipedia.org ja.wik…

ブックレビュー『残虐行為展覧会』

ちょっぴりJ.G.バラードにハマッて手を出した中古本、 『残虐行為展覧会《改訂版》』。 残虐行為展覧会 作者:J.G.バラード 工作舎 Amazon 残虐行為展覧会 (1980年) 作者:J.G.バラード Amazon ja.wikipedia.org 1960年代後半に書かれた短編をまとめた作品集(…

ブックレビュー『J.G.バラード短編全集』②「歌う彫刻」

アンソロジー『疫病短編小説集』を読み、 疫病短編小説集 (915) (平凡社ライブラリー き 15-1) 作者:R.キプリング,K.A.ポーター 平凡社 Amazon 「集中ケアユニット」に衝撃を受けて、 長年何となく難解そうだからと手を出しかねていた J.G.バラードの短編全…

ブックレビュー『蔵の中・鬼火』

蔵の中・鬼火 (角川文庫) 作者:横溝 正史 KADOKAWA Amazon 蔵の中・鬼火 (角川文庫) 作者:横溝 正史 KADOKAWA Amazon 1930年代発表の、金田一耕助登場前の妖美な短編を集めた作品集。 古い版で二度ほど読んだが、引っ越し後のアクシデントにより、 また最新…

ブックレビュー『ワインズバーグ、オハイオ』

今に始まったことではありませんが、 深夜にネットを徘徊していて目についた古書情報から、 あー、この作家の名前、聞いたことがあるような、ないような…… と思い、軽く調べた結果、買う羽目になった本。 シャーウッド・アンダーソン『ワインズバーグ、オハ…

ブックレビュー『小悪魔』

ソログープ『小悪魔』をようやく読了。 小悪魔 (白水Uブックス) 作者:フョードル・ソログープ 白水社 Amazon 小悪魔 (1972年) (モダン・クラシックス) 作者:フョードル・ソログープ Amazon ja.wikipedia.org 引っ越し目前で「ラストまであと少し」というとこ…

ブックレビュー(?)『中井英夫スペシャル』

古い本でAmazonに情報がなかったためか ブクログ検索でヒットしなかったアイテムが 長い時間を経てお目見えしたので、ようやく登録。 別冊幻想文学『中井英夫スペシャル』Ⅰ・Ⅱ。 中井英夫スペシャルⅠ 反世界の手帖 (別冊 幻想文学) 作者:東 雅夫 幻想文学出…

ブックレビュー(?)『不思議な国のラプソディ』

古い本でAmazonに情報がなかったためか ブクログ検索でヒットしなかったアイテムが 長い時間を経てお目見えしたので、ようやく登録。 不思議な国のラプソディ 海外SF傑作選 講談社文庫 福島正実 編 作者:福島 正実 ノーブランド品 Amazon 画像はありません …

ブックレビュー『赤い死の舞踏会‐付・覚書(マルジナリア)』

短編集だもんで、キリのいいところで閉じて 別の本を割り込ませてしまったため、 えらい時間がかかったけれど、 読了しました『赤い死の舞踏会』。 赤い死の舞踏会-付・覚書(マルジナリア) (中公文庫 ホ 3-4) 作者:エドガー・アラン・ポー 中央公論新社 Amaz…

ブックレビュー『少年愛文学選』

何かと勉強になる平凡社ライブラリーのアンソロジーを、また一冊。 今回は『少年愛文学選』。 高畠華宵サマの表紙がグッと来るよね。 少年愛文学選 (平凡社ライブラリー お 30-1) 作者:折口信夫、稲垣足穂ほか 発売日: 2021/04/26 メディア: 新書 ja.wikiped…

ブックレビュー『一度きりの大泉の話』

萩尾望都『一度きりの大泉の話』読了。 www.amazon.co.jp 一度きりの大泉の話 作者:萩尾望都 発売日: 2021/04/21 メディア: Kindle版 ja.wikipedia.org 日本少女漫画界の大巨星・萩尾望都御大の自叙伝が出ると聞いて、 喜び勇んで予約したものの、発売を待つ…

ブックレビュー『J.G.バラード短編全集』①「時の声」

アンソロジー『疫病短編小説集』を読み、 疫病短編小説集 (915) (平凡社ライブラリー き 15-1) 作者:R.キプリング,K.A.ポーター 発売日: 2021/03/12 メディア: 新書 「集中ケアユニット」に衝撃を受けて、 長年何となく難解そうだからと手を出しかねていた J…

ブックレビュー『疫病短編小説集』

石塚久郎=編『疫病短編小説集』(平凡社ライブラリー)読了。 疫病短編小説集 (915) (平凡社ライブラリー き 15-1) 作者:R.キプリング,K.A.ポーター 発売日: 2021/03/12 メディア: 新書 『病短編小説集』 『医療短編小説集』に続く第三弾、 新型コロナ禍を…

ブックレビュー『狐武者』

購入から四年半以上寝かせてしまった積ん読本、『狐武者』をようやく読了。 岡本綺堂の文庫初収録作品、全7編。 時代小説文庫なので、すべて時代劇かと思っていたが、そうではなかった。 狐武者 (光文社時代小説文庫) 作者:綺堂, 岡本 発売日: 2016/08/09 …

ブックレビュー『霊応ゲーム』

パトリック・レドモンド『霊応ゲーム』(ハヤカワ文庫)読了。 長かった……。 何がどうして辿り着いたか覚えていないが、 以前、絶版になって中古市場で値が吊り上がっているこの本を知った。 当時、あまりに高すぎるので見送り、 どれくらい経ったか、2015年…

ブックレビュー『極地の空』

ベルナルド・ベルトルッチ監督の映画『シェルタリング・スカイ』の 原作として知られるポール・ボウルズ『極地の空』読了。 ja.wikipedia.org ――というか、そもそも小説の原題が The Sheltering Sky 。Wikipediaによると、映画には作者も出演したとか。 ja.w…

ブックレビュー『19世紀イタリア怪奇幻想短篇集』

光文社古典新訳文庫の『19世紀イタリア怪奇幻想短篇集』を購入、読了。 19世紀イタリア怪奇幻想短篇集 (光文社古典新訳文庫) 発売日: 2021/01/12 メディア: 文庫 編訳者によれば、リアリズムが重んじられたために発展が遅れたものの、 19世紀半ば、E.A.ポオ…

ブックレビュー『かくれんぼ(・毒の園)』

ロシア象徴主義の詩人・小説家・劇作家 フョードル・ソログープ(1863-1927)の短編集、 岩波文庫『かくれんぼ・毒の園』を久しぶりに手に取った。 ja.wikipedia.org かくれんぼ・毒の園 他五篇 (岩波文庫) 作者:ソログープ 発売日: 2013/03/15 メディア: 文…

ブックレビュー『コンラッド短篇集』

映画『地獄の黙示録』の原案『闇の奥』が あまりにも有名なコンラッド(1857-1924)の短編集。 20世紀初頭に発表された6編は、 いずれも人の心の襞に潜むものを洗い出すかのようなストーリーであり、 また、後年の長編への布石とも受け取れる設定も存在する…

ブックレビュー『真珠郎』

(短めの)長編「真珠郎」(1936~1937年)と短編「孔雀屏風」(1940年)の 二編を収録した文庫の改版(2019年5月)を読了。 www.amazon.co.jp 真珠郎 「由利先生」シリーズ (角川文庫) 作者:横溝 正史 発売日: 2018/11/22 メディア: Kindle版 旧版で2~3…