今頃ですが佐藤史生『夢みる惑星』を読了したのでメモのまとめをば。
『ワン・ゼロ』を何度も読み返していて、先日ふと、
そういえばこっちは未読だったなぁ……と思い、文庫全3巻(中古)を購入。
1980~1984年に『プチフラワー』で連載された長編SFファンタジー作品。
何故、長らく手を出しかねていたかというと、
竜が飛び交う異世界系のお話が苦手だからで💧
でも、思い切って読んでよかったです、これはSFだ(笑)🌎✨
物語の舞台は、
祖先が聖なる船で星の海を渡ってやって来たと伝えられる都アスカンタ。
文庫第1巻
アスカンタのモデスコ王の長子イリスは出生上の問題から母と共に隠棲し、
統治者にならず静かに暮らすよう言い含められていた。
神官の中でも取り分け偉大な幻視能力者である盲目のエル・ライジアは、
イリスに同じ力を見て取り、
彼を政治家ではなく大神官の位に据えて《神殿》を復興させるべきだと主張。
アスカンタに必要なのは
幻視能力者でなく人々の心の拠りどころとなる大神官なのだ……と。
一介の学生になり済まして外の世界に出たイリスは、
様々な陰謀が渦巻いていることを知り、
イスファ首長暗殺の濡れ衣を着せられた戦士族の少年カラ・ベンを
アスカンタへ連れ帰った。
夏至祭が催され、イリスは二百年間空位だった大神官に就任した。
文庫第2巻
大神官イリスはアスカンタの遷都を提唱するが、
新王タジオン(イリスの異母弟)は反対する。
イリスは人々が礼拝する前で遺物を使った空中浮揚を見せ、自身の神秘性をアピール。
次の礼拝の最中には偶然、地震が起き、彼の言葉に信憑性が加味され、
小部族の中には逸早く彼の言を聞き入れる者も現れた。
ところが、戦闘用の竜=闘竜の卵を育成する《谷》が、
実はそれを密売して独自に財を蓄えていたことが発覚。
タジオンは孵化場に監査役を置くと宣告。
側近ズオー大臣はそれについてイリスのために便宜を図りたいと伝えにやって来る。
実はズオーはイリスの亡母ルキソーヤを慕い続けていたのだった。
文庫第3巻
各地の小部族の代表者が大神官詣でにやって来る度、イリスは説得に成功し、
避難計画を進めていくが、王タジオンの不興を買う一方。
しかし、各グループは監視の目を掻い潜って続々と城門を出ていった。
その頃、地下聖殿では科学者が大発見を……。
様々な思惑が交錯する中、いずれ死ぬ身とはいえ、
生きている限りは幸福でありたいと願う気持ちが実を結び――といった結末。
但し、終盤はかなり駆け足で無難にまとめた感あり。
これはもしや連載当時「あと●回で終わらせてください」とか
編集さんに言われたってパターンなのかな……だとしたら悲しいな。
アスカンタと対立するイスファの執政長官と科学者集団タウリシュなんて、
ひとクセもふたクセもあって、そうスゴスゴと退散するようには見えなかったし、
最後は強情なイリスが舞姫シリンの情熱を前に折れた格好だったけど、
あまり恋愛要素を必要としないタイプの物語って気がするので、
ドラマをそこに落とし込んで矮小化してしまったっぽいのが、少し残念。
それから、第3巻の表紙、あれは誰(笑)???
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