深川夏眠の備忘録

自称アマチュア小説家の雑記。

ブックレビュー(?)『不思議な国のラプソディ』

古い本でAmazonに情報がなかったためか

ブクログ検索でヒットしなかったアイテムが

長い時間を経てお目見えしたので、ようやく登録。

 

 

画像はありません って、素っ気ないですね(苦笑)。

書影はこちら。

 

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『不思議な国のラプソディ』書影

 

2008年初めに読了した

1976年発売のアンソロジー『不思議な国のラプソディ』。

当時、コグスウェル「壁の中」を読みたくて収録本を探し、

古書店さんから取り寄せたもの。

海外SF傑作選と銘打ってあるが、

SFっぽくないスリラーの方が多い印象。

 

ja.wikipedia.org

(1960年代に出た短編集の邦訳を読んでみたい……)

 

『不思議な国のラプソディ』収録作は、

 

 シオドア・R・コグスウェル「壁の中」The Wall Around the World

 ドナルド・A・ウォルハイム「暴風雨警報」Storm

 エドモンド・ハミルトン「反対進化」Devolution

 マレイ・レンスター「死都」Dead City

 フレデリック・ブラウン「手品」That Hat Trick

 ウイルスン・タッカー「ここは地球だ」This is Earth

 ロッド・サーリング「真夜中の太陽」The Midnight Sun

 リチャード・マシスン「奇妙な子供」 The Curious Child

 ウイル・F・ジェンキンズ「くりのべられた審判」Doomsday Defered

 ゼナ・ヘンダースン「静かに!」Hush!

 ジョン・L・ヘンズレイ「最後の地球人」And Not Quite Human

 R・シアーズ「災厄」Disaster

 

「壁の中」には

漠然とブラッドベリ臭(笑)を嗅ぎつけてしまった。

テイストは違うものの、「ウは宇宙船のウ」を連想。

 

 

で、

24年組のいくつかのマンガは少なからずこの小説の影響を受けているのでは――

という論評を目にして、なるほど! と膝を叩いた。

例えば萩尾望都先生で言うと「あそび玉」辺りが、

雰囲気濃厚と言えそうな……。

 

(「あそび玉」収録本)


危険を冒しても果敢に挑戦する者だけが真実に到達することができる、

といったお話。

 

他に好みだったのは、ロッド・サーリング「真夜中の太陽」。

ヒロインが置かれた苛酷な状況が実は夢だった――のだけど、

そのまま夢オチでは終わらず、現実は彼女の夢とは違う形で、

激しく苛酷な状況だと明かされて、幕。

彼女の夢の内容は現実逃避のなせる業――のはずが、

振り子が思いっきり真反対に振れ過ぎていたのだな、とわかった途端、

やるせない悲しみに襲われる佳品。

 

そのうちゆっくり再読=味読したいところ。