パトリック・レドモンド『霊応ゲーム』(ハヤカワ文庫)読了。
長かった……。
何がどうして辿り着いたか覚えていないが、
以前、絶版になって中古市場で値が吊り上がっているこの本を知った。
当時、あまりに高すぎるので見送り、
どれくらい経ったか、2015年に文庫化されたので購入した。
が、それから6年近くも寝かせてしまったのだった。
1999年1月、ロンドン。
1950年代に英国の全寮制パブリック・スクール、
カークストン・アベイ学園を見舞った奇怪な事件について、
真相を知ると称する者との面会が叶ったティム・ウェバー。
長時間のインタビューを録音し、記事にして、
ジャーナリストとして脚光を浴びたいと願うティムだったが……。
話中話――って、つい書いてしまうけれど、正しくは劇中劇、
第一部~第四部が、来訪者が語った過去の事件。
その後、エピローグで元のティムの部屋に戻って、幕。
ところが、劇中劇が三人称のあっちこっち移動しまくる視点で綴られていて、
非常に読みにくかった。
せめて章または節ごとに目線が切り替わるならよかったのに。
また、語り手が知る事実を述べつつ、直接見聞きできなかった件については
周囲の関係者から得た情報を文書の形で開示するとか、
そこに推測を付け加えるなどするのが読者にとって親切というもの。
ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』や
シオドア・スタージョン『きみの血を』のように
雑多なテクスト構成の方がいっそ読みやすくて清々しいですわ。
内容は、厳格な規則に縛られた寄宿舎で起きた悪質ないじめに端を発した、
いくつかの異様な出来事。
純真な被害者と、彼を庇う立場のクールな美少年が
報復のためにウィジャ盤を持ち出す話で、
タイトル The Wishing Game は、この西洋版こっくりさんに由来。
超常現象と思われた事柄に後から科学的な説明が付されて解決する
ミステリかと思いきや、オカルトのまま終わってしまったので拍子抜け。
セリフの末尾にも「!!」や「?!」が多く、
全然耽美的な雰囲気ではなかったため、期待を裏切られた気分。
(赤江瀑かよっ! とツッコまずにいられなかったぜよ……)
14~15歳の男子って、あんなに子供コドモしてましたっけね?
しかし、Amazonその他のレビューにザッと目を通しても概ね高評価。
肩身が狭いざんす(笑)。
唯一笑ったのは、p.89 コートニーのセリフ。
おまえの歯をずっと奥まで、
自分のケツに噛みつけるくらい奥までめり込ませてやるからな!
いや、笑いどころを探してどうするよ(トホホ)。
まるで日本の古式ゆかしい定番の脅し文句
【前略】手ぇ突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたろかい!
と一緒だなぁと思って(笑)。