掌編「翠玉」(@『掌編 -Short Short Stories-』)が
手を離れるか離れないかくらいのうちから、
新しいネタがムズムズと頭を浸蝕し始めた。
これがネタの鮮度で決まるショートショートなら大急ぎで着手するところだが、
どうやらストーリー性の高い、ボチボチな長さの様相なので、
焦らずしばらく寝かせておくことにした。
ザックリ言うとディストピアSFかなぁ。
前々から、小説を組み立てることは料理に似ていると考えている。
「こんな一皿を味わってみたい」と思い立って材料を搔き集め、
適切な手法で調理し、出来映えに満足したり、イマイチだなぁと残念がったり。
勧めた相手が褒めてくれれば喜びもひとしおだが、
万一受け入れられなかったとしても、
自分自身が気に入った味や食感なら、
致し方ない、好みが合わないのだな……と諦める、とか。
中でも探偵小説や幻想文学は嗜好品の度合いが強く、
万人向けでないのは承知しているし、
言い方が悪いかもしれないが、
受け止める側にそこそこの準備が出来ている必要もある。
フィクションを読み込むことに対して、
数をこなしていない人には、まったく受け入れられないというか。
この辺の問題については、いろいろ言いたいこともあるのだが、
書き出すのが面倒――というか時間がもったいないので、やめておく。
人間いつ不測の事態で頓死するか、わかったものではないので、
机(正しくはローテーブル)上のパソコンに向かっていられるうちに、
書く手間と気力を小説に傾注したいのだ。
要は私自身が読み手として極めてストライクゾーンが狭いので、
書く側としても偏ったテイストになるのはやむなし、という言い訳である。
ともかく、足りない調味料を求めて旅立ったまま帰って来られなくなっては
元も子もないので、ほどほどに支度が出来たら取り掛かりたい。
しかし、先に書きかけの作品を仕上げなくては。
まずは『宵待蟹岬毒草園』戯曲版を。
『サースティ』だって、
ハタと思いついてから着手するまで一年半も間を置いたのだし、
焦っては駄目さ……と、自分に言い聞かせつつ、
やっぱり人間いつ頓死するか、わかったものではないので……(無限ループ)。