深川夏眠の備忘録

自称アマチュア小説家の雑記。

#私がやってる創作をざっくり言う→小説を書いていますが戯曲に手を出してしまいました。

昨秋、小説を投稿できるSNS二つから撤退してカクヨムを使い始め、

せっかくだから出せる限りのものは出そうということで、

旧作を手直しして手っ取り早くリリースできる作品の多分最後のヤツ(笑)の

分載開始。

 

『宵待蟹岬毒草園(よいまちがにざきどくそうえん)』

 

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『宵待蟹岬毒草園』イメージ画像

 

現在、この作品を元に戯曲を書いています。

オリジナル小説のセルフ二次創作。

自分の小説の加工ぐらい簡単かと思いきや、手こずるのなんの(トホホ)。

小説はカクヨム連載、その終わり頃に縦書き版をRomancerで公開し、

戯曲は電子書籍にする予定です。

 

そうした作業の過程で、

何か新しいものが浮かび上がってくることを期待しつつ……。

 

2020年映画鑑賞記『パラサイト‐半地下の家族』

ポン・ジュノ監督のパルムドール受賞作『パラサイト‐半地下の家族』を鑑賞。
私が行ったシネコンでは三連休でパンフレットが完売したらしく、
買えなかった……残念ナリ(涙)。

 

 

父・母・息子・娘、四人とも失業中のキム一家。
半地下仕様の狭い住居で身を寄せ合い、内職で食い繋ぐ中、
息子ギウは親友から家庭教師の代理を頼まれ、富豪の屋敷へ。
豪邸の内部、家族構成を覗いたギウは一計を案じ……。

 

貧しいが頭の切れる家族が、
金持ちだけれどもちょっぴり抜けている(?)人たちを丸め込んで

屋敷を乗っ取る話だと思って観ていたら、
とんでもなくサスペンスフルな展開になって軽くのけぞった。
なるほど、家を人体と見なすなら、
本来そこに存在するはずのない異物は寄生虫のようなもの……だものなぁ、
タイトルは《パラサイト》以外にないわ。

 

ネタバレ防止のため、これ以上詳しいことは書けませんけど(笑)。
キッチリ張り巡らせた伏線が終盤できちんと回収される爽快感!
――を、是非、多くの人に劇場で味わってもらいたいと思った。

 

余談だが、もし、私が監督の立場だったら、

あのガーデンパーティで「リスペクトォォォ!」の混乱の中、

エンドロールで終了……にしてしまった気がする(←バカだ)。
まあ、小説や漫画なら、そういう演出もアリかもしれないが、
映画なのだから、やはりきちんと
オチがついていた方がいいものねぇ(ウンウン)。

いやー、痺れました、満足★★★★★!

 

ところで、深夜の「ジャージャー・ラーメン」

妙に美味しそうだったなぁ(笑)。

 

書き下ろし掌編「玉骨(ぎょっこつ)」出来!

焼き直しではない、本当の新年一発目、書き下ろし掌編をリリース。

タイトルは「玉骨(ぎょっこつ)」。

「梅」にまつわる友愛の物語。

 

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掌編「玉骨(ぎょっこつ)」イメージ画像

 

Romancer『掌編 -Short Short Stories-』に追加しました。

あちらの目次をご覧ください。

カクヨムでは横書き版をお読みいただけます。

自主企画【画題で書き初めしてみませんか】を意識して、

まず「梅」をモチーフにしようと決め、タイトルを決定し、

本文を書き進めて、「竹」を合わせれば「梅」×「竹」

謎語画題「君子之交(くんしのこう)」に合致するし、

言葉の意味も作品の内容と噛み合うぞ……という具合に、

偶然の産物として生成された趣ですが、

こうした成り行き任せと天の配剤のような結果も、創作の愉楽の一つかと。

 

お楽しみいただければ幸いです。

 

ブックレビュー『月の部屋で会いましょう』

アンソロジー『猫は宇宙で丸くなる』解説で、選に漏れた一編として、
レイ・ヴクサヴィッチ「キャッチ」が挙げられていたので、興味を持って購入、読了。

 

 

ヴァラエティに富んだSF&奇想掌短編集、全34編。

しかし……[後述]。

 

月の部屋で会いましょう (創元SF文庫)

月の部屋で会いましょう (創元SF文庫)

 

 

■僕らが天王星に着くころ By the Time We Get to Uranus:1998
 皮膚が宇宙服に変質して、

 ヘルメットまで完成した最終形態になると重力に逆らって宇宙へ飛び立ってしまう
 ――という奇病が蔓延。
 妻モリーを地上に繋ぎ止めたいジャックの四苦八苦。
 ヘンテコな話だが、予想外にウェットで苦手なタイプ。
 不運に見舞われた人がその状況に酔っているかのようで、好きになれない。
 最初、ボリス・ヴィアン『うたかたの日々』(もしくは「日々の泡」)を

 連想したが、案外「セカチュー」やら「いま会い」(古っ)やらを好む読書人に

 ウケるのかもしれない……なんちゃって。

 

うたかたの日々 (光文社古典新訳文庫 Aウ 5-1)

うたかたの日々 (光文社古典新訳文庫 Aウ 5-1)

  • 作者:ヴィアン
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/09/13
  • メディア: 文庫
 

 
■床屋(バーバー)のテーマ The Barber's Theme:1995
 理髪師ブレンダの仕事中の妄想。


バンジョー抱えたビート族 Beatniks with Banjoes:2001
 クリスマスイヴのツリーに飾る靴下を巡る事件。

■最終果実 Finally Fruit:1997
 子供時代の仲良しグループの一人だった女の子が、

 ある頃から得体の知れない化け物に変容してしまった話。


■ふり Pretending:2001
 毎年クリスマスにイベントを開催する仲間たち。
 今年の幹事はスチュアートで、奇妙なパーティを催したが……。
 籤を引いて当たった者が幽霊役になり、

 残りの面々は幽霊を信じていないから彼女が見えないという態度を取るが、
 仕掛け人が「策士策に溺れる」結果に。
 シオドア・スタージョン「考え方(A Way of Thinking)」を連想した。

 

一角獣・多角獣 (異色作家短篇集)

一角獣・多角獣 (異色作家短篇集)

 

 
■母さんの小さな友だち Mom's Little Friends:1992
 ナノテクノロジーの第一人者、

 物理学博士ホリー・ケッチャム女史を襲った異常事態に立ち向かう、
 彼女の子供たち。
 人体の中で社会組織を構成するナノピープルが、

 宿主に連絡事項を伝えるために生み出した仮想人格ジェシカが
 宿主をコントロールしようとし、ホリーの行動様式が激変したため、
 母を救うべく過激な手段でジェシカと対峙する姉弟エイダとバリー。

■彗星なし(ノー・コメット) No Comet:1994
 「ふり」とは逆に

 「襲いかかって来るかもしれないものを見なかったことにすれば、

  それは存在しないも同然」
 と考えて危険を回避しようとし、妻子を巻き込む男。
 だが、そもそもその危機自体が発生していたのかどうか……。
 ややコルタサル風な(?)オブセッションの話。


■危険の存在 There is Danger:1993
 孫がいる年齢のカップルの、ロマンティックなひと時。
 だが、常に優雅に振る舞うセリーナとは対照的に「わたし」には

 無様な挙措しかできない――。
 周囲の対応から察するに、語り手は既に身体が不自由で、
 そのことに引け目を感じながら恋愛感情と格闘しているのだろうか?


■ピンクの煙 Pink Smoke:2001
 盗癖のある恋人マギーが盛んに“巧みに”万引きしたり

 他人の持ち物を掏ったりするので、困惑・辟易するジョー。
 マギーは遂に刑務所行きとなったが、二人は思いがけない形で再会する。
 意外に爽やかで好感が持てる話。

■シーズン最終回 Season Finale:1995
 テレビで探偵役を演じる俳優が、亡くなった恋人の兄に暴行され、

 意識を取り戻すと……。
 ホラー映画のワンシーンのような雰囲気。

■セーター The Sweater:2001
 アリスからの誕生日プレゼントは手編みのセーターだった。
 ジェフリーは早速それを着ようとしたが……。
 シュールで奇怪なエピソードのようでいて、

 至極現実的な「齟齬」についての物語ではないかとも思える。
 一瞬でスポッと着られなかったのは、サイズが間違っていたせいか、

 あるいは、彼がそれを着たくないと感じたからか。
 いずれにせよ、受容と供給が――延いては心の持ちようが――

 マッチしない悲しみとおかしさについて。
 《私見

  手編みのセーターは成人男性が女性からプレゼントされて

  ウンザリするアイテムの筆頭なのでは?

■家庭療法 Home Remedy:1996
 就眠中に害虫が鼻の奥に入ってしまい、

 バスルームに籠もって危険な手段で駆除を試みる男。
 過激かつ不快極りない描写が続くが、彼を悩ませているものの本体は、
 妻が不貞を働いているかもしれないという疑念である――といった、

 これまた強迫観念が外在化=実体化する話。
 女性が増長して異様にデカく強くなったわけではなく、

 男性が一方的に萎んでしまった印象。
 1950~1960年代頃の、いわゆる「奇妙な味」にカテゴライズされる小説【※】

 にも現れる、景気がよかった頃の、懐が深く、

 大らかな父性が漲っていたアメリカのイメージ、その残り香は最早感じられない。
 ……もっとも、それらとこの作家の小説を比較することに意味はないのだろうが。
 【※】シオドア・スタージョン,チャールズ・ボーモント,スタンリイ・エリン,

    ジャック・フィニイ,レイ・ブラッドベリ,等々の作品群。


■息止めコンテスト A Breath Holding Contest:1991
 どちらが長く息を止めていられるか――というイベントは、
 対戦相手同士が無言で「念」を飛ばし合う精神のバトルでもあった(笑)。


■派手なズボン Fancy Pants:2000
 人目につかないようにドライヴし、

 街の中の谷間に降りてピクニックを楽しむカップルは――。

■冷蔵庫の中 In the Refrigerator:2001
 狭い部屋で二人暮らしをするカップル。
 ある晩、男が帰宅すると恋人が紙袋を頭に被って座っており……。

■最高のプレゼント The Perfect Gift:1994
 傷んだ服を着て焼け落ちた建物の残骸の傍でサンタクロースを待つ、

 腹ペコのティムとエイミー。
 サンタはリムジンに乗ってプレゼントを届けにやって来たが……。
 傲岸不遜なサンタクロースは何を表象するのか。
 焼け跡云々は戦争を連想させるが、

 1994年に発表されたこの作品はボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を
 現地とアメリカを反転させて暗示したものか……違うか⤵


■魚が伝えるメッセージ Message in a Fish:2001
 借金地獄から逃れるため、稀少な観賞魚を売却しようと考えたジョシュ。
 購入希望者から電話がかかって来たが、話が噛み合わず……。

■キャッチ Catch:1996
 ルーシーとデズモンドの仕事は、
 猫を衰弱するまで放り投げてはキャッチすることを繰り返す、というもの。
 ルーシーは本当はそれを嫌悪しているが、

 稼ぐためにやらざるを得ないといった様子。
 とにかく、動物を虐待する話なので嫌悪感しか湧いて来ない。


■指 The Finger:1995
 中指を立ててfxxxサインを出したら、それがピストルの一撃であるかのように、
 対面した相手を倒すことが出来る能力を得たボビー。
 魔女たちとのサイキック・バトル(?)を経て、男たちは荒野へ――。


ジョイスふたたび(リジョイス) Rejoice:1999
 ジェイムズ・ジョイスの文体で

 メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』をザックリ纏めてみよう!
 的なパロディ作品。
 ヴィクター・フランケンシュタインが死体の寄せ集めに魂を吹き込む際、
 本の内容を脳に注入してジョイスを蘇らせようと目論んだが……という話。
 馬鹿馬鹿しくて面白い。


■ぼくの口ひげ My Mustache:1993
 剃り落とした髭の代わりに、

 鼻の下に接着剤で蛇を貼り付け、恋人に呆れられるルイス。
 格好悪い僕でもそのまま受け入れて愛してくださいと言わんばかりの甘えを感じる。


■俺たちは自転車を殺す We Kill a Bicycle:1995
 人間 vs 人間と自転車の融合体。
 筒井康隆「佇むひと」を思い出したが、こちらの方がずっとアクティヴで野蛮。


■休暇旅行 A Holiday Junket:1998
 テレポーテーションで辿り着いたバカンス先は、

 誰もが重い金魚鉢を抱えて歩かねばならない場所だった――。
 仲間同士は頭を近づけ合えば意志の疎通が可能だが、

 金魚鉢のせいでそれがままならないという珍妙な話。


■大きな一歩 Giant Step:1994
 人口の三分の一が様々な汚染から身を守るべく宇宙服を身に着けて

 往来を闊歩するようになり、トラブルも多発。
 だが、グレゴリーと恋人ナンシー、彼女の孫娘キムの三人は、

 大いなる一歩を踏み出した(笑)。

■正反対 Quite Contrary:1994
 ルイは仲間のアルフォンソと共にサリーを襲ったが、今は……。

■服役 Doing Time:1992
 アメリカ国旗を燃やすという罪を犯して逮捕され、服役(?)し、
 釈放されるとまた同じことを繰り返す「俺」が見出した小さな希望――

 だが、それは無残に打ち砕かれた。

■次善の策 The Next Best Thing:1998
 恋人ティムの遺言執行に協力しろとデボラに迫られた、二人の友人である「俺」。
 ティムは死んだら自分を宇宙に打ち上げてくれと言い残していた。

■猛暑 Beauty Heat:2001
 フランクは向かいの家の美女を双眼鏡で監視する。
 彼女はきっと、宇宙人だから……。

■儀式 Ceremony:1991
 クリスマスのイベント中にサンタクロース役の男が突然死。
 だが、客の行列を捌きたい雑貨店店主ボブは、

 アルバイトのブレンダに芝居を打たせ、商売を続ける――。

■排便 Poop:2000
 40歳を過ぎて子供を授かった夫婦。
 だが、赤ん坊のオムツから、あり得ないものが次々に飛び出し……。

■宇宙の白人たち White Guys in Space:1996
 地球を統括するワールドマスター・ジョーンズの陰謀と

 ロブスター型宇宙人と科学者と普通の男たち、そして女と犬。


■フィッシュ・ケーキ Fish Cakes:2011
 仮想世界のゲーム仲間である男女が初めてオフラインで会うことになったが、
 リアルな“外”の空間は温暖化の進行で暑熱地獄。
 希望なき世界でささやかな安らぎを見出す、といったところか。
 タイトルは魚風味のパウダーを加えた練り物の意だが、

 「熱帯魚の餌」を掛けた洒落になっている。
 登場人物たちが若者なら特に文句はないが、

 いつまでも中二病が癒えない中高年かと思うとイタい。


■ささやき Whisper:2001
 恋人にいびきがうるさいと嫌がられた「俺」は、

 そんなにうるさいだろうかと思い、就寝中、カセットテープに録音。
 すると、知らない男女の会話が……。
 段々大胆になってくる(?)声だけの居候。


■月の部屋で会いましょう Meet Me in the Moon Room:1998
 死んだと思っていた昔の恋人が生きていて再会を求めてきた。
 約束の場所は《月の部屋》――。

 

 

多くの作品が、家族・恋人・友人などの親密な関係に対する

不安や不信感に彩られている。
それはいいのだが……ほとんどの場合、

主人公の男性に魅力が感じられないので、物語に没入できなかった。
苦手なんですよ。
不運に陶酔するかのようなタイプ、
努力を怠りながら、こんなダメな男ですがそのまんま受け容れて愛してください、
みたいなタイプ――等々。
これは好みの問題なので、いかんともしがたいですな(苦笑)。

 

焼き直し短編公開。

カクヨムの自主企画【“邪悪”な人々】に乗っかって、

思い当たる旧作を掘り起こし、部分的に修正して公開しました。

タイトルは「埋葬虫(シデムシ)」

夜行性で、腐肉を食う昆虫。

恋でも友情でもない、殺伐とした「絆」で結ばれざるを得なかった男女の逃避行。

 

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「埋葬虫(シデムシ)」表紙画像

 

縦書き版はRomancerでお読みいただけます。

 

……しかし、新年一発目がコレか(涙)。

 

ブックレビュー『ラテンアメリカ民話集』

三原幸久=編『ラテンアメリカ民話集』(岩波文庫)読了。

 

ラテンアメリカ民話集 (岩波文庫)

ラテンアメリカ民話集 (岩波文庫)

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2019/12/15
  • メディア: 文庫
 

 

ラテンアメリカの民話のうち、
日本の昔話とも関係があると見なされるものをメインに集められた37話。
残酷かつ笑いを誘う奇妙な小咄の数々。
ピカレスク譚の多さに新鮮な感動を味わった。

解説によれば、メキシコの民話はスペインのものをそのまま受け継ぎ、
ネイティヴの影響をほとんど受けておらず、この考え方は

ブラジル以外のラテンアメリカ全域に敷衍され得ることが確認されている。
つまり、ネイティヴの民話はスペイン民話の影響を受けているが、
白人の側の民話には少数民族の民話の要素が見出されない。
しかし、アルゼンチンにおいては、
すべての民話が欧州起源であるとの説には疑問が呈され、
少数ながら現地民発祥のものがあるという主張がある――とのこと。

 

恥じらう乙女コックローチ(!)の煩悶、

ソンブレロを買おうかしら……だめだわ、似合わないわ」

に笑ってしまった。

 

2019年の10冊

カクヨムの自主企画に乗っかって、

ブクログレビューをまとめる形で「2019年の10冊」について綴りました。

 

■書評集「2019年の10冊」

 

対象は、先にTwitterにタイトルと書影だけ挙げた10冊。

 

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2019年の10冊*書影

 

今年もなかなかいい出会いがあったと申せましょう。