深川夏眠の備忘録

自称アマチュア小説家の雑記。

ブックレビュー『ラテンアメリカ民話集』

三原幸久=編『ラテンアメリカ民話集』(岩波文庫)読了。

 

ラテンアメリカ民話集 (岩波文庫)

ラテンアメリカ民話集 (岩波文庫)

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2019/12/15
  • メディア: 文庫
 

 

ラテンアメリカの民話のうち、
日本の昔話とも関係があると見なされるものをメインに集められた37話。
残酷かつ笑いを誘う奇妙な小咄の数々。
ピカレスク譚の多さに新鮮な感動を味わった。

解説によれば、メキシコの民話はスペインのものをそのまま受け継ぎ、
ネイティヴの影響をほとんど受けておらず、この考え方は

ブラジル以外のラテンアメリカ全域に敷衍され得ることが確認されている。
つまり、ネイティヴの民話はスペイン民話の影響を受けているが、
白人の側の民話には少数民族の民話の要素が見出されない。
しかし、アルゼンチンにおいては、
すべての民話が欧州起源であるとの説には疑問が呈され、
少数ながら現地民発祥のものがあるという主張がある――とのこと。

 

恥じらう乙女コックローチ(!)の煩悶、

ソンブレロを買おうかしら……だめだわ、似合わないわ」

に笑ってしまった。