これまた何故だかずっと見そびれていた2018年版ドラマ
『悪魔が来りて笛を吹く』再放送を録画視聴。
第二次世界大戦後の混乱期、没落していく旧華族に降りかかった惨劇。
探偵・金田一耕助は、その屋敷の娘・椿美禰子から相談を受け、
事件に関わることとなった――。
原作は十三、四年前に一度読んだきり……なのだけど、
2019年10月に『シリーズ深読み読書会~悪魔が来りて笛を吹く』を視聴して、
そうそう、そんなお話だったっけと思ったものでした。
fukagawa-natsumi.hatenablog.com
身も蓋もない言い方だけど、
事件の大元は生活の苦労を知らない享楽的で頽廃的な旧華族の中に
格別乱暴な者とニンフォマニアが同時に出来(しゅったい)したこと、
とでも申せましょうか。
目撃証言に基づくモンタージュ写真に似ていたため、
宝石店襲撃の容疑者扱いを受けた椿英輔(美禰子の父)は
二重の意味で被害者であり、同時に実は真の探偵役でもあったのでした。
というのも、本作では、嫌疑不十分で釈放された椿英輔が、
自分の妻子を巡る謎を解くために小旅行に出、真相を把握した上、
それを誰にも告げずに自死しており、
美禰子に依頼されて椿邸を訪れた金田一耕助が、その後、
椿英輔の無情な旅路をなぞるようにして彼の発見を追体験するからなのです。
種明かしの終盤での出来事は原作と異なりますが(犯人は同じ)
ショッキングな展開【*】の後に、因襲に縛られた古い“家観”
及び家父長制からの脱却を目指す若者の笑顔が輝くところは一緒。
作中、随所で女性が搾取・蹂躙されていて、結構ムカムカしましたけれども、
横溝先生は「そういうの、もうダメなんだぜ」って考えていらしたのでしょう。
【*】ネタバレに相当する部分を白文字にしています
真犯人が最も憎むべき相手と対峙した瞬間、その場に探偵や警部もいるというのに
「(今からセックス)する?」と微笑みながら声をかけられたため、
逆上して惨殺に及んだので、
やむを得ない措置として警部が犯人を射殺するのですが、
この最後の被害者が
血まみれになって殺されながら蠱惑的な笑みを浮かべたまま……
という演出が壮絶でした、ゲロゲロ(←褒めてます💓)。
コケティッシュな和装のメイド菊江さんを演じた倉科カナさんも素敵でした💕
↑ 真犯人についてもガッツリ記述されているので、
これから原作を読んだり映像化作品を鑑賞されたりする予定の方は
お気をつけくださいませ。