ゴールデンウィークを延長してくれるよう、
何故エヴァンズに頼まなかったのか……?
――云々、本作のタイトルを弄って遊んでいるツイートを見かけ、
そういえば未読だったと思い出し、購入、読了。
1934年発表の長編ミステリ小説で、
クリスティ作品では少数派に属するノン・シリーズもの、
Why Didn't They Ask Evans?
海軍を退役し、実家に戻ったボビイことロバート・ジョーンズ青年は牧師の四男坊。
友人とゴルフを楽しんでいて叫び声を聞き、崖下に倒れている中年男性を発見。
彼は「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」という一言を最後に
息を引き取った。
所持品の一つは妙に印象的な女性の写真で、
それが手掛かりになって故人の身元が判明したのだが……
ボビイは幼馴染みのお転婆伯爵令嬢フランキーと共に事件に巻き込まれることに。
「ええ、そうよ、殺人者に向こう見ずはつきものよ。人殺しをすればするほど、もっと人が殺したくなるものだわ」(p.87)
えーっと、お嬢様??(笑)
「なにか不気味な感じだよ、たしかに。ぼくは小説というよりも、劇の中といった感じだな。ぼくたちは役なんかないくせに、第二幕の真ん中あたりで舞台に飛び出してしまって、まるで役があるみたいな顔をして演じていなければならない、といった具合なんだ。おまけにやっかいなのは、この劇の第一幕がどうなっているのか、さっぱり見当もつかないということなのさ」(p.270)
「あたしには、これが第二幕なのかもわからないのよ――むしろ、第三幕じゃないかと思えるくらい。ボビイ、あたしたちは、ずっと逆戻りしなければならないのよ――それも大急ぎでね。なぜって、この劇もいよいよ大詰めに来たんじゃないかと思えるんですもの」(p.270)
「いたるところに死体をばらまいてね」(p.270)
第三幕どころか、
この時点でまだ全体の三分の二にも到達していないじゃございませんか、
お嬢様???(笑)
とかなんとか、好奇心旺盛な若い男女コンビのドタバタ。
遺言書を残して大富豪が亡くなったのだが、そこに不審な点があり、
何者かが莫大な遺産を横取りしようとしている――という話になっていくのですが。
謎の人物エヴァンズの正体は意外というか何というか……灯台下暗しってヤツで(笑)
若く溌溂としたボビイ&フランキーが魅力的で、後半は勢いよく読めますね。
それにしても、スプラッゲ弁護士が貴族名鑑をチェックした後の行動が気になる……。
映像化作品も、いつか観てみたい。
↓ 結末に触れていますので未読の方はご注意ください ↓