深川夏眠の備忘録

自称アマチュア小説家の雑記。

映画鑑賞記『エクソシスト』

今頃ですが、映画『エクソシスト』を鑑賞。

いつだったかBS-NHKで放映されたもの(レターボックスサイズ)の録画で。

オリジナル版なのでスパイダーウォーク🕷✨のシーンは登場しません。

 

恥ずかしながら、

これもまた有名過ぎて未鑑賞なのに観た気になっちゃっていた一作。

オチも知っていましたが、それでも面白かった。

 

ストーリーをザックリ言うと――

女優でシングルマザーであるクリス・マクニールの一人娘、

12歳のリーガンに何故か悪魔が取り憑いて大騒ぎに。

脳に障害が起きたか、精神疾患かと捉えられ、

病院で過酷な検査(痛そう……💉💧)を受けるのだが、どこを取っても正常。

匙を投げた医師が「悪魔祓いでもしてみては」などと宣う。

そこで白羽の矢が立ったのがカトリックの神父であると同時に精神科医でもある

イエズス会デミアン・カラス。

とはいえ、正式な悪魔祓いの儀式には大司教の許可が必要。

で、デミアンはサブ的な位置づけとされ、

経験豊富な老神父ランカスター・メリンがメインの立場で対応することとなった。

実はメリン神父は趣味なのか(?)作品冒頭で遺跡の発掘に携わっており、

出土品の一部を見て

悪魔が動き出すのではないかと不吉な予感を覚えていて、

それが的中した格好になってしまったのだった。

 

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これが当時の予告編だそうですが、本編の後に見て「うわ、上手い!」と

唸ってしまった。

取り憑かれたリーガンの顔を少ししか見せずに家の中の異変を強調している!

 

こちらは、かの有名なメインテーマ曲。

ライヴ映像ですが、公式動画らしいので貼っておきます。

映画での楽曲使用に関して悶着があったことでも有名、というか。

 

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リーガンの首が180°回転するとか濃縮えんどう豆スープ吐瀉とか、

サブリミナル悪魔とか、

ショッキングな映像がイメージとして刷り込まれていたけれど、

真面目な話、とてもきちんとしたヒューマンドラマじゃないですか!

(そういう意味で面白いと述べたのデス)

もっと早く観りゃよかったなぁ……(こんなんばっか💧)

 

とはいえ、結局何だったのよってな話ではあります。

 

【解釈1】

 ◆悪魔が少女に取り憑いた。

  何が目的かわかりませんが、悪魔が少女とその母親を苦しめて去った。

  ……ただね、一般的な日本人には

  因果関係が明示されない恐怖譚って実感が湧かないでしょ。

  女優である母が仕事の都合で借りた家に元々何かがいた、とか、

  そういう説明は一切ない。

  私が作り手だったら、冒頭がイラク北部の遺跡発掘現場というならば、

  そこで調査する人、あるいは映画のロケ隊が、

  たまたま某か[ウイルス]を見つけ、

  こっそり持ち帰ってしまった[感染]ので、帰国(帰宅)してから[潜伏期間]

  変事が起こり[発症]悪魔祓い実施[抗ウイルス薬投与]

  ってことにしたと思います、陳腐だけど(笑)。

 

【解釈2】

 ◆思春期のお嬢さんの内心のモヤモヤがドカーンと外在化した。

  リーガンは12歳にしては、やや幼い感じのする女の子で、

  ママが大好きで、一緒にいるときはベタッと甘えている。

  ママもそれを嬉しく思って優しく接していて、とても仲のいい母と娘。

  しかも、ママは売れっ子女優だから裕福――と、

  羨ましいくらいの境遇ですけども(笑)物心両面が満たされていようと

  本人の意志に関係なく第二次性徴の荒波は無情に押し寄せるワケです。

  この得体の知れない禍々しいエネルギーを自身から切り離して

  悪魔と呼んだなら……。

  ウィジャボードが好きというのも危ういですね。

  また、母親の職業柄、ホームパーティが開かれるなどして、

  様々な(派手な)大人たちと接する機会がもたらされるため、

  耳年増になっている可能性も大。

  さて、映画監督でママ=女優クリス・マクニールと親しい、

  飲んだくれで下品なバーク・デニングスというキャラクターがおりまして。

  彼はちょいちょいマクニール家に出入りしていて、結果、

  悪魔化したリーガンの力によって転落死するのですが、

  これってさ、

  留守番を引き受けたバークがリーガンに性的暴行を働いた(あるいは未遂)

  ってことで、報復として殺されたのではないですかね。

  おっと、だとしたら

  そのときの犯人は悪魔ではなくリーガン本人ってことになっちゃうな。

  ともかく、

  そんな下劣な男とは別種の清い父(神父)たちが後からやって来て、

  父性不在となっていたマクニール家を自己犠牲を払って救う――と。

  ちなみに、現代では本作のベースとなった事件の当事者に現れた症状は

  ――詐病だったらしいのだけれども、本当に病に侵されていたとしたら――

  抗NMDA受容体脳炎ではないかと考え得るそうです。

 

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それから、観客の心をグッと掴んでしまうのがデミアン・カラス神父ですよね。

演じたのはジェイソン・ミラー

何というか……幸薄(さちうす)系ハンサムやな(笑)。

 

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精神科医として勤務すれば、

相応の報酬を得て余裕のある暮らしを送れたに違いないのだが、

神父でもあるため、清貧を貫かねばならず、結果、

老母に不自由を強いているという自責の念に囚われた、

孤独でストイックな人物の苦悩を見事に体現。

有り余るエネルギーをボクシングの練習で発散するだとか、

見るだに痛々しい。

初めのうちは悪魔祓いに消極的だったものの、

リーガンの苦しみを受け留めて腹を括ったかのよう。

これは下衆な私の邪推ですけど、ひょっとしてデミアン君は

クリスに女性としての魅力を感じていたのじゃなかろうか。

でも、聖職者だから言い寄ることはできないので、

せめて彼女の娘を救う役に立ちたいと考えたのでは……とかね。

 

それにしても、マクニール邸の廊下、白い床と壁、お洒落な家具、

そこにある椅子に座ったデミアン君を引きの映像で見せるところがカッコイイ。

 

ともあれ、私が一番ゾッとしたのはデミアン君が言語研究所を訪ねるシーン。

ドアの上に貼り紙があって TASUKETE! と赤字で書いてあるアレ何コワ過ぎ……。

ちなみに、用件は、録音したテープを持ち込み、

リーガンの口を借りて悪魔が喋った聞き取れない言葉を調べてもらうことでした。

 

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時間を置いて再度鑑賞するかな、いや、それより先に原作を読もう。

絶版だけど、中古本を注文済なのですヒヒヒ(またいつもどおり積むけど)。