12/7(木)夜、夫が「ラジオ番組で杉咲花主演映画の話題が……」と切り出した。
が、パーソナリティがネタバレを避けるため非ッ常~に遠回しな説明に終始し、
要領を得ないので却って気になる、と(笑)。
それなら見てみようやないかい、とて即・座席予約。
12/9(土)鑑賞してまいりました、戸田彬弘監督の映画『市子』。
同棲相手の義則にプロポーズされ、
涙を零して嬉しいと喜んだ市子(いちこ)は何故かその翌日、彼の前から姿を消した。
義則は彼女を探す過程で、
三年も一緒に暮らしながら彼女について何一つ知らなかったことに愕然とする……。
何ともヘヴィな二時間でした。
市子の小学校の同級生や高校時代の交際相手などから
彼女がどんな人物なのかを聞き出して情報を並べていくという形式なので、
岡崎京子「チワワちゃん」を思い浮かべた。
しかし、市子の場合、義則にとって、そして、観客にとっては謎が深まる一方で……。
指輪より先に取りあえず市子が欲しがっていた浴衣を買ってきて婚姻届を差し出し
プロポーズする義則(演=若葉竜也さん)めちゃ優しくてイイやつで、
事実を突きつけられて疲弊していく様が痛々しいのだ。
【余談】
若葉さんって『シリーズ・江戸川乱歩短編集』の「何者」で結城弘一を
演じてらした方ですわね💕
途中ふと、市子はもしかすると誰かと親密さを増していくと、それに倦んで、
鬱陶しく感じるようになってリセットすることを繰り返すタイプの人なのか、
とも思ったのですがね……そんな生易しい話ではなかった。
花ちゃんの大阪弁めっちゃカワイイんだけど。
何というか、積み重なった悲しい夏の思い出いろいろ、ですわね。
で、ツクツクボウシが鳴いているから夏の終わりだと察することが出来て、
あ、日本人でよかった、とか思ってしまうという。
温かく優しい手触りの映画は季節が春か秋で、残酷な話は夏と冬じゃね?
てなことも考えました、ハイ。
ちなみに、元になった演劇版『川辺市子のために』未鑑賞で、
これから映画を観る人はパンフレットを買っても先に読まない方がいいです。
ガッツリ核心に触れているので💧
私は新鮮な驚きを得られてラッキーだったと思いました。
市子と義則の出会いのエピソードが映画終盤で描写されるのですが、
もしかしたら、二人はまたどこかの夏祭りで屋台の焼きそばを買おうとして
再会するのじゃなかろうか……などと妄想してみた。
但し、決してそのまま幸福な同居生活に戻ることは叶わないのだけれど。
ただ、普通に、静かに慎ましく生きることの何という難しさ。