深川夏眠の備忘録

自称アマチュア小説家の雑記。

映画鑑賞記『福田村事件』

ドキュメンタリー映像作家・森達也氏、

初の(フィクション)劇映画『福田村事件』を鑑賞。

 

www.fukudamura1923.jp

(トップページにマウスポインタを当ててご覧なさいまし。こういうの好き💕)

 

関東大震災の後、当日大きな揺れに脅かされながらも被害の小さかった

福田村(現在の千葉県野田市)で流言飛語が飛び交い、

何の罪もない行商人グループが殺傷された事件を描いた作品。

歴史の暗部に光を当てつつ、細かい人間ドラマは創作で、

そのバランス感覚が優れており、良質なエンタテインメントとなっている。

主人公は赴任先で大きな挫折を味わい、妻を連れて帰京した元・教師。

彼が同郷人たちの振る舞いを部外者の目で傍観するという構図が巧い。

そして、彼――井浦新サン演じる――澤田智一は

観客がビックリするほど何もしない(!)恐ろしく無力な主役で、

この演出にも「ニクイねぇ」と唸らされた。

智一の態度はつまり、我々の常のほとんどのそれの鏡像なのだ。

他方、躍動するのは女性たち。

過ちを犯したとしても自ら落とし前をつける覚悟で自分の内心に正直に行動する。

彼女らの美しさに息を呑んだ。

 

……というか、キャスティングの妙!

ファンの方にはゴメンナサイだけど、初めて東出昌大サンの演技をウマイ!!

と思いましたよアタシャ(『Winny』も観たいよなぁ……)。

しかし、渡し船の中なんて狭いところでヤるのは嫌だぜ(笑)。

そして、ついつい、いつも『岬の兄妹』のおにいさんと呼んでしまうのだけど、

松浦祐也サン(どうしてお名前を覚えられないんだろうな……)も

イイ味出してたなぁぁ。

 

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永山瑛太サンはね、もう、それこそ圧巻の芝居よね。

で、繰り返しになるけれど女優陣、見事でした(素ん晴らしい適材適所ぶり!)。

 

事実に基づく、本当に惨い話なのだけれど、

映画のラストにはうっすらと希望が滲んでいるかのようで、ちょっとホッとした。

 

余談だが、本ッ当に些少ながらクラウドファンディングに協力させてもらったので、

パンフレットの支援者一覧に名前(本名)が載った。

映画が監督の構想通りに完成し、

無事上映に漕ぎ着けたことを陰ながら喜ぶ一人であるヨ。

 

      (シナリオも全文掲載されているので結構なボリューム感)

 

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