猫が活躍するSF中短編小説アンソロジー。
地上編◆5作+宇宙編★5作。
◆ジェフリー・D・コイストラ「パフ」(Puff:1993年)
◆ロバート・F・ヤング
「ピネロピへの贈りもの」(Pattern for Penelope:1954年)
◆デニス・ダンヴァーズ「ベンジャミンの治癒」(Healing Benjamin:2009年)
◆ナンシー・スプリンガー「化身」(In Carnation:1991年)
◆シオドア・スタージョン「ヘリックス・ザ・キャット」
(Helix the Cat:1938/1939年)
★ジョディ・リン・ナイ「宇宙に猫パンチ」(Well Worth the Money:1992年)
★ジェイムズ・ホワイト「共謀者たち」(The Conspirators:1954年)
★ジェイムズ・H・シュミッツ「チックタックとわたし」(Novice:1962年)
★アンドレ・ノートン「猫の世界は灰色」(All Cats are Gray:1953年)
★フリッツ・ライバー「影の船」(Ship of Shadows:1969年)
少し事前の期待値が高過ぎたかな~(笑)。
中には「別に猫でなくてもいいんじゃ……」みたいなものも。
そんな中でハートを鷲掴みにされたのが、
執筆年が一番新しいダンヴァーズ「ベンジャミンの治癒」。
愛猫の死を受け入れられない飼い主が必死で介抱したら、
特異能力が発露し、猫は生き返り、しかも、
不老不死になるわ、人間の言葉で会話出来るようになるわ――で、
願ったり叶ったりと言いたいところだったが、
それを他人に知られてはいけないので、様々な苦労が……という話。
男一人と猫一匹が旅に出る展開が素晴らしい。
【引用】p.78
死に匹敵するものはない。死はほかに類例のないもので、癒しかたも治しかたもまったく知られていない。
そして、結末は、
これまた飼い主にとって理想的なエンディングだろうけれども、とても切ない。
グッと来た(涙)。