楳図大先生が監督なさったアレの話です、フフフ。
劇場で鑑賞しそびれてAmazon限定のおまけ(絵コンテ集/等)付きDVDを買い、
一回だけ観まして、何故か今日、凄く久しぶりによっしゃ、もう一度!
と思って(なんじゃそりゃ)。
ホラー映画好きの人たちにも楳図フリークにも、
あまり評判がよろしくなかったようなんですが、
私も一度目はピンと来なかったんですけども、今日観たら何となく納得しました。
面白いよ、普通に。
人気漫画家・楳図かずおの自宅に、
ベテラン編集者に連れられて若い新人女性・若草さくらがやって来た。
彼女は楳図の大ファンで、
半生を綴った本を出したいのだと言ってインタビューを始めた。
更に、亡母の葬儀の後は足が遠のいているという彼自身に代わって地元へ行き、
縁者への聞き取り調査を敢行すると張り切っていたのだが……。
二人いる息子のうち、
長男かずおにだけ異様に強い愛着の念を抱いたまま死んだ母イチエの霊は、
かずおと互いに惹かれ合うかのようなさくらの出現によって活性化し、
生前自分にすげない態度を取った者、
あるいは葬式の際に笑っていた者たちに壮絶な復讐を開始するのだった。
そして、イチエの魔手はかずおとさくらにも伸び……。
といったお話で、わりとよくある感じの(失礼💦)ホラー演出が繰り返されます。
だが、しかし。
ここからネタバレっぽいので知りたくない方は引き返しておくんなまし。
作品内現実の時代設定は映画制作時における現代(2013年)と思われます。
皆さんガラケーをお使いです。
スマホの世界規模での爆発的な普及は
2011~2014年辺りというデータがあるらしいので、
作中登場人物は、まだガラケー派の人々ということなのでしょう。
それから、主人公・楳図かずおは親類とパソコンを使ってビデオ通話をしています。
Skypeですかね。
ただ、動作が不安定(不安と恐怖を煽るための演出なのでしょうが)。
『神の左手悪魔の右手』も『14歳』も執筆していないのら~🖋ハプハプ!!
書棚に並ぶ主人公・楳図かずおの著書の中に、これらの単行本が並んでいない……
と思って気づいたのだけど、現実の楳図大先生は1995年頃から休筆中。
けれども、映画では2013年式の風景の中で、
もっと古い作品を描いていると見られる――ああ、この時空の歪み💫
映画はフィクションなんだから何がどう接続したって構わんのでは?
と仰る向きもありましょうが、
私はその手の齟齬でさぶいぼ出ちゃうタイプの人間なんすよ(笑)。
で、最終盤、事件解決めでたしメデタシ……の後、
最新作に取り掛かる主人公・楳図かずおは、
互いに好意を持っていると確認した編集者の名をヒロインに与えた。
つまり、2013年式の風景の中で『洗礼』を描き始め、
しかも、画面に映るペン入れ済みのキャラクターはヒロインの母!
それでいて、母親退治(うわ💧)に使った大量のイラストのコピーも
『洗礼』のさくらなんですよね、『おろち』じゃなくてね。
歪んだ時空間の中で、呪いはまだ解けていない……といった趣き。
ともかくも、息子が惚れた相手に嫉妬する母親の図、だなんて、
ものごっついホラーやんけ!!