深川夏眠の備忘録

自称アマチュア小説家の雑記。

DVD鑑賞記『フルメタル・ジャケット』

先日、調べ物をしていて偶然辿り着いたページを見て、

キューブリック作品の緻密さに改めて震撼。

で、前々から観たいと思いつつ何となく機会を逸してきた

フルメタル・ジャケット』のDVDを購入(安かった)。

 

フルメタル・ジャケット [DVD]

フルメタル・ジャケット [DVD]

  • 発売日: 2010/04/21
  • メディア: DVD
 

 

続いて原作本を再読、約6年ぶり。

 


報道記者を目指す青年がベトナム戦争に従軍するため、
海兵隊に入って訓練を受け、現地に派遣されるという筋立て。
映画は三つのパートに分かれた小説の第二部までで、上手くオチをつけている。
映画の方がアッサリしていてスタイリッシュな印象だが、
主人公ジョーカーが小説よりも少し優しい人物のように映る。
不器用な通称“微笑みデブ”(←ひどいなぁww)こと
レナードの面倒を丁寧に見ているところとか。

 

食堂で夜食用にドーナツをくすねて隠していたことが鬼教官にバレたレナードが、
罵倒された挙げ句、連帯責任とて仲間たちが腕立て伏せをさせられる中、
結局そのドーナツをモグモグ食べてしまうシーンで
「食うんかいっ!」と、お茶を噴いた。

 

戦争が心を破壊する様が淡々と描かれていて怖いが、
人間の愚かさ、醜さを的確に炙り出しているので、小説も映画版も大変面白い。

 

舞台は前半がアメリカ、後半がベトナムなのだが、
監督が飛行機嫌いだからか、
全パートが英国内で撮影されたと知ってのけぞった(笑)。

 

あの独特の均整の取れた感じ、様式美の中の緊張感は

こうした徹底ぶりによって生み出されていたのかと感銘を受けた。

しかし、俳優さんは、例えば「あと2㎝頭を下げろ!」なんて

言われていたのかも……と思うと、面倒臭さが気の毒ではあるな、と。

 

Kubrick // One-Point Perspective