深川夏眠の備忘録

自称アマチュア小説家の雑記。

ドラマ『犬神家の一族』前後編:録画視聴。

ドラマ『犬神家の一族』前後編のお話。

 

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原作は結ッッ構~~前に母の蔵書で読んだきりなので、うろ覚え。

映画版とドラマ版のいくつかはテレビで何度か視聴していますが、

あまり比較にこだわらず、フラットに今作を楽しもうという心構えで。

とは言いつつも、

やはり《金田一耕助 踊る!》バージョンの印象が強烈で(笑)

 

thetv.jp

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一代で成り上がり莫大な財を成した犬神佐兵衛の死後、遺言状の公開を待つ関係者。

探偵・金田一耕助は弁護士・若林豊一郎の依頼で犬神家の近くに宿を取った。

すると、若林が何者かに毒殺され――。

 

今回最大の期待は犬神松子を大竹しのぶさんが演じることでした。

どんな怪演になるやら……と怖いもの見たさで(笑)。

ところが始まってみると、あれ?

終始苦悩を押し殺したトーン。

それもそのはず、

何となく勝手にキーッꐦとテンパるキャラクターのイメージを

持ってしまっていたのだけど、

松子奥様は冷静さを装わなければいけない立場なのよね。

で、竹子奥様(南果歩さん)・梅子奥様(堀内敬子さん)のハジケッぷりが

好対照。

衣装も素敵。

 

若干説明的になりがちなのは致し方ないですね、原作が濃すぎるので。

それをトトトト……ッと上手いことまとめて来たなぁと思ったら、あれ?

解決編がとひ登場より先??

えーと、小説未読の方はピンと来ないでしょうが、

アレは地の文で人(ひと)が逆さになっているから「とひ」と呼ぶべき云々と

記述されているのですよ。

 

で。

なるほど、解決した後にオリジナルのオチを付けたのですね。

今回のドラマを観てから原作本を初めて読む人がいたら、

むしろアッサリしていて拍子抜けするかもしれません。

本ドラマのエンディングは現代的なヒネリの演出だなぁと感心しました。

一連の殺人の動機は母の一人息子に対するネッチョリした愛、

なのだけど、それをありがたく受け留めていたかに見えた息子の方が

一枚上手(うわて)だった……と言いたげなシメ方になっています。

これは何というか、母の一人息子に対するネッチョリした愛(←クドイな💧)を

全面的に肯定すると見せかけての卓袱台返しとでも言いましょうか、

お望みどおり財産はちゃっかり貰ってあげちゃいますよ、みたいな雰囲気が、

個人的にはとても好みです。

また、そんな金田一の推理を聞いた当人が

「あなた病気です」(=それはおぬしの妄想じゃ、の意)と、

犯意を認めるとも認めないとも取れる一言で突き放して退場するというのも

ナイスですね。

しかし、こうなると珠世さんの性格づけまで変わってしまうんですよね。

最終盤に垣間見えた彼女の表情はすべてを察している風でしたから。

昔の映画での「お待ちします」の一言が好きだったので、そこだけ複雑な心境。

猿蔵くんの献身も、ちょいと残念な感じになりますまいか……。

 

とはいえ、古典芸能の域に達したかに見える金田一シリーズ、

今後も続々、新解釈・新機軸が登場したら面白いよなぁと期待してしまうのでした。

 

 

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