深川夏眠の備忘録

自称アマチュア小説家の雑記。

ブックレビュー『笑う吸血鬼』『ハライソ‐笑う吸血鬼2』

丸尾マンガ読み返し週間。

立て続けに『笑う吸血鬼』&続編『ハライソ‐笑う吸血鬼2』。

 

笑う吸血鬼

笑う吸血鬼

 
ハライソ―笑う吸血鬼 2

ハライソ―笑う吸血鬼 2

 

 

どちらも発売直後に初版を購入。

連載のことは全然知らなくて、

1冊目をたまたま書店で見かけて「おおっ!」と手を出し。

普通サイズのリニューアル版が出たようですが、

緻密な画風なので、重くても大きい方がいいですよ、なんちゃって。

 

『笑う吸血鬼』は都会の片隅で鬱屈した日々を送る中学生が

吸血鬼として生きる老女に見初められ、仲間になる話。

彼=毛利耿之介とクラスメイトの宮脇留奈、それから、

ある秘密を抱えた辺見外男がメインキャラクター。

 

『ハライソ‐笑う吸血鬼2』は、その後、耿之介と留奈がどうなったか。

耿之介の美形ぶりがグレードアップして正視に堪えないほどなのだが(笑)

悲劇的な衝撃のオチを迎えるのだった……(涙)。

 

2冊を通して、さほど露骨なエログロ描写があるでもなく、

血飛沫も決して多くないのに、紙面から立ち上る色香と腐臭が凄まじくて

鼻血が出そうになります。

 

私は吸血鬼モチーフの作品が好きとは言っても、

地味で奥手な女子が貴公子風のヴァンパイアに見初められ……みたいな、

大昔の少女漫画のヴァリアントめいた筋立てに興味はなく、

小説で言えばシオドア・スタージョン『きみの血を』のような、

普通の人間の心の暗黒面を抉る系の作品を愛好するので

(まあ、この世の条理の外へ出て行ってしまうのだけれども)

この2作を愛読し続けているのでありました。