深川夏眠の備忘録

自称アマチュア小説家の雑記。

ブックレビュー『毛糸のズボン 直野祥子トラウマ少女漫画全集』

twitter……じゃなかったX(ええい忌々しい💢)で発売情報が流れてきて

気になったので予約して購入しました、

『毛糸のズボン 直野祥子トラウマ少女漫画全集』(ちくま文庫)。

 

www.chikumashobo.co.jp

 

このカバーがなんというかもう(笑)手を出さずにいられなかった。

ちなみにこれは収録作「はじめての家族旅行」中の1ページ。

直野先生は主に1970年代に講談社系の少女漫画雑誌で活躍された方のようです。

収録作は――

 

 

マリはだれの子

『別冊なかよし』1971年5月号。

両親のどちらにも顔が似ていない女の子マリは周囲の大人たちから頻繁に

「誰に似たのだろう」と言われ続け、それを気に病んで……。

※現代なら絶対NG、余計なお世話レベルの問題だけど、

 昔は距離感がどうかしていてデリカシーのない人が多かったからねぇ。

 それによって純真な子供の感情と行動が捻じ曲げられてしまった悲惨なお話。

 

毛糸のズボン

『なかよし』1971年5月号。

おばあちゃんは編み物が得意で次々に自信作をひろしにプレゼントしてくれる。

でも、派手過ぎて、ひろしはそれらを着たくはない。

そして……。

※デザインが好みではないのだと、はっきり言えればよかった。

 個人的には善意の押し付けが迷惑という、ひろし君に共感します。

 

おつたさま

少女フレンド』1971年8月24日号。

極悪醜女おつたさまの呪い(理不尽)。

 

宿題

少女フレンド』1971年9月21日号。

夏休みの宿題と闘う広子ちゃん……。

※私は夏休み終盤までやり残しを積んでおく子供ではなかったので、

 これはちょっと共感しかねます。

 

ひも

少女フレンド』1971年9月28日号。

チエと愛子は仲のよい従姉妹同士。

チエの過失で愛子が失明してしまったので、

チエは献身的に愛子を支えてきたのだが、

少年ケンとの間に恋愛感情を育もうとし始めたことから

彼女らの仲は気まずいものになり……。

※言葉で明快にコミュニケートすることの重要さよ😿

 

かくれんぼ

少女フレンド』1971年10月5日号。

廃墟でかくれんぼするのが好きなチカ子(5歳)とマリ子(3歳)だったが、

マリ子は隠れたまま出て来なくなり、帰宅したチカ子はそのことを黙っていた。

時は流れ――。

※オチは予想どおりだがプロセスが……💧

 

復讐

少女フレンド』1971年10月12日号。

麻紀は両親と幸せに暮らしていたが、ある日、父が交通事故で亡くなった。

麻紀は高校を中退して働き、お金を貯めて車を買った。

父を轢いた相手に復讐するためだった。

彼女は目的を遂げたのだが、直後に恐るべき事実が判明し――。

※嫌な話ですわ💧


こじきの死

少女フレンド』1971年10月19日号。

裕福で優しい恵美子が物乞いの少女に大切な人形を譲った上、

頻繁に施しをしていたのだが、ある日、衝撃の事実が……。

※まずこのタイトルはアカン!!!(笑)

 そして、設定にも大いに無理があるが、ともかくも悲惨な話。


はじめての家族旅行

『なかよし』1971年10月号。

さち子の家は困窮していたが、父の仕事の目途が立って、

これからは余裕が出来るということで、初めての旅行に。

一家三人、神戸港から船に乗ったのだが……。

※もしかしたらと不安に駆られ、杞憂ならいいのだけれど、

 実はやっぱり……という嫌~な話。

※※余談ですが、私は温泉一泊旅行に出、途中で昼食を取っている間、

  もしかして施錠するのを忘れてきたのではなかろうかと

  冷や汗を掻いたことがありました。

  ちなみに、鍵はちゃんと閉めてありました。

 

首かざり

『なかよし』1971年11月号。

混雑するエレベーターの中で何者かがアキ子の母のネックレスを奪った。

アキ子は犯人の顔をはっきり見たのだが、恐ろしさに竦んでしまった。

中学生になってから引っ越し、転校したアキ子は親しくなったルミ子の家に招かれ、

犯人と再会した――。

※悪質なクレプトマニアの話。

 当人ではなく家族や巻き込まれた人が悲しみ、苦しむという、やるせない物語。

 

『別冊なかよし』1971年11月15日号。

午後になって雨が降ると、

小学校には子供たちを迎えにお母さん方が傘を持ってやって来る。

しかし、ユミ子は父と二人暮らしの上、父は仕事に出ているので迎えはない。

寂しい思いをするユミ子は偶然ヒマそうなお姉さんと出会い、なかよくなって、

お姉さんが雨降りのたびに来てくれるようになった。

だが、彼女の真の目的は……。

※お姉さん(仲間からおケイと呼ばれている)が根っからの悪人ではないのが救い。

 

シャイアンの大わし

少女フレンド』1972年2月22日号。

西部開拓時代のアメリカが舞台。

非業の死を遂げたシャイアン族の美しい娘アイダの魂が少女ジェーンに乗り移る。


血ぞめの日記が空に舞う

少女フレンド』1972年10月3日号。

生徒が定期的に担任に日記を提出する決まりのある学校(クラス)でのこと。

白谷さんはサボタージュについて告げ口したのは前川さんだと睨み、

意趣返しのつもりで彼女の日記帳を隠す。

ところが……。


へび神さま

少女フレンド』1973年2月20日号。

奇怪な因習に支配された山間の村で行われる儀式。

そこには〈白へびさま〉に仕える巫女を選抜して捧げる習わしがあるのだが……。

白へびさまに恭順を示すことで村の平和が保たれるという理屈なのだけれども、

 巫女はストレスと恐怖で気が変になってしまうのがお約束。

 それでも自分の娘を喜んで差し出す親たちが異様で

 白へびさま以上にぎぼぢわるい

 

巻末に直野先生の回顧・解説あり。

一部を除いて、現実に起こる可能性が充分にありそうな嫌な話が揃っているので、

その手のホラーがお好きな方にお薦めします。

ちょっぴり『悪魔(デイモス)の花嫁』あるいは『おろち』の諸エピソードを

連想させられました。

勘違いが生んだ悲劇とか、善意の擦れ違いだとか。

1970年代って、そういう物語が格別ウケたのでしょうかね。