深川夏眠の備忘録

自称アマチュア小説家の雑記。

100分de名著『フロイト 夢判断』

テキストを読みつつ番組を見て思ったことなどを(1ヶ月遅れですが💧)。

 

www.nhk.jp

 

 

テキストまえがき■はじめに(立木康介

『夢判断(Die Traumdeutung)』は

一介の町医者が偉大な真理の発見者=《世界のフロイト》に変貌する

契機となった著作。

百年以上経過した古典だが、人間が夢を見続ける限りアクチュアルであり続ける。

いかに文明が進歩しようと、人間が夢を見なくなることは多分なく、

AIは夢を見ないのだから、夢こそが〈人間の証明〉になる時代が来るのかもしれない。

 

第1回 「無意識」の発見と夢分析

19世紀最後の年、産業革命を経て激変するヨーロッパ社会で、

心の病〈神経症〉が流行していた。

医師フロイトは、その原因を〈無意識〉に見出し、夢を分析した。

結果、症状への理解が深まり、改善に繋げられるようになった。

 

 フロイトはパリに留学してシャルコーに師事し〈無意識〉の読み解きに踏み出した。

 が、催眠術は不要と判断し、催眠療法から自由連想法へ移行。

 患者本人に夢の意味を解釈させ、1900年に研究成果を発表。

 人間の無意識を、ある種の法則性によって論理的に解明可能なものとして

 『夢判断』を世に示した。

  これは

 「意識が理性的・論理的であるのに対して無意識は非理性的で混沌としたもの」

 という旧来の常識を覆す画期的な書だった。

 フロイトは〈無意識〉を〈もう一つの理性〉〈もう一つの知〉と位置づけ直して

 アプローチする方法を示した。

 曰く「一切の夢は願望充足である」。

 夢は神のお告げではなく、当人の〈無意識〉がもたらすものと捉え、

 精神分析によって人間を宗教から脱出させようと試みた。

 フロイトコペルニクスダーウィン同様、人間の脱中心化を目論んだのだった。

 

ja.wikipedia.org

 

第2回 夢形成のメカニズム

神経症の本質はアクセルとブレーキを一緒に踏むことと同じ。

そこで葛藤が生じる。

 

【局所論】心の中の三つの異なる場(=審級)を区別する理論

   侵入 ┌→ 意識(心の表面)

    │  ↑

    │ 前意識(思考を検閲)───────┐

    │  ↑             抑制

      └ 無意識(抑圧されたものの場)←┘

 

【夢作業】

 ①圧縮(複数イメージの一体化:夢の中で父と叔父が一人の人物と化す、等)

 ②移動(心の問題の核心をずらすこと)

 ③表現可能性への顧慮(=ヴィジュアル化)

 ④二次加工(現実にない・現実とは異なる何ものかを添加し、夢の体裁を整える)

 

夢は抑圧された願望の偽装された充足であり、そこには歪曲された願望が顔を出し、

問題の中心点がずらされることもある。

また、夢は抽象的な思考をヴィジュアル化する。

夢には文化に規定された〈象徴的表現〉が登場し、

物語に整合性を付与するための〈第二次加工〉が行われ、その際、

当人の〈無意識〉の中で出来上がっている空想が用いられる。

 

フロイト曰く「〈無意識〉の空想は固有のリアリティを持っている」――。

取り分け神経症患者は空想のリアリティへの固執が強い。

そもそも、誰にとっても客観的な現実というのものが存在するのか?

当人が客観的と思っている現実と〈無意識〉の中の現実が軋轢を生じる。

自分の内心より外部に誤りがある場合もあるのでは……と考えたフロイトは、

「空想の中の現実を軽視すべからず」と説いた。

患者が固執する事柄には当人にとって重要な意味が必ずある、と。

フロイトは無意識的空想のリアリティを〈心的現実〉と呼んで

心の可能性を提示しつつ、しかし、夢を完璧に分析することは出来ないと考え、

この分析不可能な地点を〈夢の臍〉と呼んだ。

 

第3回 エディプス・コンプレックスの発見――無意識の愛と性

フロイトソフォクレスの『オイディプス王』とシェイクスピアの『ハムレット

という二つの悲劇からエディプス・コンプレックスの概念とその普遍性を導き出し、

説いた。

 

 

夢の研究から浮かび上がってきた《エディプス・コンプレックス》。

フロイト曰く「父を殺して母を娶ったエディプス王の行為は

我々の幼年時代の願望充足に過ぎない」――。

また、「エディプス・コンプレックスは幼児期のセクシュアリティの発達の頂点」。

これが後に休眠期に入り、それからまた思春期以後に復活して完成に向かうという。

ちなみに、フロイトの言う〈セクシュアリティ〉とは、

他者と人間的な関係を築いていけるような身体を手に入れるために必要なものであり、

言葉・表情・仕草などによるコミュニケーションが可能になるよう、

身体を造り変えていくことが幼児期の性的発達である。

エディプス・コンプレックスは、おぞましいものだが、それに振り回されないために

分析・理解が必要なのだ――とも。

 

人間は願望が不意に目の前で実現されると、感激するより怯えて尻込みしてしまう。

願望には夢の中での充足に留めておいた方がよい種類のものも存在する……。

 

第4回 無意識の彼岸へ

三層構造を成す『夢判断』

  3F 夢事象の心理学
  2F 分析によって裏付けられる

    〈夢作業〉――無意識の潜在思考から夢の顕在内容が形成されていく過程――

    を具体的に論じる
  1F 夢分析の実例とその方法を提示

 

本丸は3F「夢事象の心理学」で、フロイトはここで、

夢をその形成メカニズムにまで遡って検討した結果、得られた知識の全体を包み込む、

未だかつて誰も見たことのない新しい《心理学》の構築に乗り出した。

心を一つの〈装置〉と捉え、その機能と成り立ちを説明する《心理学》を、

フロイトは「意識の背後へ通じる心理学」の意で《メタ心理学》と呼んだ。

 

但し、夢から目覚めに至る過程については余白(不足)があり、

これを補足したのがジャック・ラカン

フロイトの理論だけでは、

 ①潜在思考の夢:

  プリミティヴな情動(不安・恐怖)を発散するためだけに形成される夢

 ②フラッシュバック的な夢

といった、願望充足に該当しない夢の説明がつかなかったため。

 

ja.wikipedia.org

 

ちなみに、フロイト自身の究極の願望充足とは「自由の身での死」だった。

フロイトは1939年に亡命先のロンドンで死去したのだが、

ナチス・ドイツの迫害を受けるユダヤ人であった彼が、

危険を承知でギリギリのタイミングまでウィーンに留まったのは何故だったか。

それは自らが創始した精神分析母語第一言語がドイツ語でなくなることを

恐れたためではなかったかと言われる由。

実際に、フロイトがロンドンに逃れた後、

精神分析第一言語は英語に取って代わられたのだった……。

 

まとめ

夢は見ただけでは過去にしか通じていないが、分析すれば未来へ繋がっていく。

精神分析は「今日までとは違う明日」を手に入れに行くための手段である。

 

 

うーん、難しかったけれど、ある程度、胸に落ちた感。

というか、この番組&テキストくらいザックリと噛み砕いて教えてもらえれば、

もうちょいといい成績が取れたのでは……などと、

ポンコツ学生時代を懐かしく振り返ってみたりなんかして💦

 

ja.wikipedia.org