深川夏眠の備忘録

自称アマチュア小説家の雑記。

映画鑑賞記『ニューオーダー』

昨日(6/4)

映画『ニューオーダー(NUEVO ORDEN)』を公開初日に鑑賞。

自宅からちょっと頑張って徒歩圏内のシネコンでは

やってくれそうもないので、黄金町まで出張ったの巻。

 

シネマ ジャック&ベティ、階段上って振り返った壁のパネル。

 

尺が短いので私のメンタルは無事で済んだが、

仮に3時間程の長尺だったとしたら神経がもたなかったに違いない、

超絶胸糞悪い作品(褒め言葉)。

とにかくヒドイ! 惨い!!(褒めてますってば💧)

 

ニューオーダー』パンフレット&チラシ。

 

現代~近未来(?)のメキシコ。

ブルジョワ家庭に生まれ育ち、

何不自由ない暮らしを享受してきた美しい娘マリアンの結婚。

豪奢な自宅に大勢の客を呼んで盛大なホームパーティが開かれたのだが、

遅れて到着した者たちが不穏な言葉を口にする。

暴動が起きていて足止めを食ったのだ……と。

中には、世間の動静が怪しい雰囲気の今、挙式しなくても――

といった軽い嫌味の声も。

そこへ、7~8年前に商売を始めるからと言って去った

元使用人の老人が現れる。

大勢のケガ人が担ぎ込まれたせいで妻が公立から私立の病院に転院させられ、

手術しなければならないのだが、高額の費用を提示されて困っている、

つきましては速やかにお返しするので、すぐ用立てていただきたい――。

一家の主も妻も息子も、こんな日に突然やって来て何を言うのかと冷たい態度。

しかし、マリアンは優しいので、ともかく何とかしなくてはと車に乗り……

結果、難を逃れたかに見えたのも束の間、

一転、地獄に突き落とされるのだった……。

 

パーティに招かれざる客⇒ポン・ジュノ『パラサイト』を

思い浮かべないわけにいかないわよねぇ……(リスペェェクトォォォ!)。

 

booklog.jp

 

日本とは比べ物にならないほど

貧富の差が大きいと話に聞くメキシコが舞台なので、

さもありなんといったところ。

だが、本当に恐ろしいのは格差是正を求めるデモ隊が暴徒化することよりも、

その先の展開。

可憐なマリアンの苦悶の表情が痛ましい。

本ッ当にカワイイんだよ主演のネイアンたん💕

 

冒頭の静かで謎めいたイメージ映像(すっぽんぽん!)風のシーンから、

すったもんだの末にこうなるんだろうか、ああなるんだろうかと、

いくつかシミュレートしたものの、悉くハズレ。

(ヒロインが洗脳されて革命の天使みたいになる展開、とかさ)

極めてドライで無慈悲で即物的な物語だった(お国柄なのかしらん)。

 

メキシコのブルジョワ家庭の話ということで、

頭の片隅にアルフォンソ・キュアロン『ローマ』の記憶が蘇った。

が、最終的に人種・階級の壁を超えた融和・連帯が描かれる

こちらの作品と違って、断然無情・非情なのよね……。

 

booklog.jp

 

日本ではPG12指定だという『ニューオーダー』だが、

R-15でもよかったのではないか(暴力的だから)。

ともかく、これが現実にならないことを切に祈る。

 

ところで、余談だが。

銃撃を受けて重傷を負いながら一命を取り留めた父が、

息子(マリアンの兄)と対話する場面、

酸素吸入器を外して答えを発するまでに長い間があり、

見た瞬間は、それだけ苦しいということだろうと思ったのだが、

結末から推すと、本当は猛スピードで頭を回転させて、

あれこれ策を巡らしていたのかもしれないという気が。

こういう演出は重要なので、

DVD化されたり動画配信されたりした際の鑑賞時、

再生速度を速めてはダメだよ、諸君(笑)。

 

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