ブクログに書いたことだけで充分と言えるので、
改めてこちらで取り上げる必要もないのでは……と思いつつ、
一応記録。
短編ホラー漫画集『純のはらわた』読了。
上の行の赤いリンクをクリックするとアダルトコンテンツだゾ!
という警告文が表示されますが、断っておきますと、
この本は成人向けコミックではなくホラー漫画ですのでだいじょ……
あ、私が読んだのは《修正版》と但し書きが付いた電子書籍でした。
もしかして、内容が微妙に違うのか??
ちなみに、kindle以外にもラインナップされています。
私はebookjapanで
溜まっていたポイントを利用して値引き購入しました(高いゾ!)。
前々からずっと
気にかけては忘れることを繰り返していた(←吾輩あるある)
鬼畜系漫画家のホラー短編作品集。
元は雑誌『ホラーM』掲載作だったとか。
基本的にスッキリした描線で淡々と進行していく……かと思うと
突然の残虐シーンといったパターンだが、
短いストーリーながら意外性があって大変面白い。
割とアッサリした画風なので、
ゴア描写も「うんうん」と頷きながら読み進めてしまった。
小中学生女子特有の思い込みの激しさや残酷さがリアル。
思考の流れに整合性がある(?)ため、理不尽さや狂気は感じられず、
美醜のコントラストと嫉妬が主にクローズアップされているので、
これをもっと上の世代で繰り広げられるドラマにスライドさせたら
『悪魔(デイモス)の花嫁』の
キツめのエピソードのようになりはすまいかと愚考。
しかし、作者が男性だということを踏まえると――
女の暗部を熟知しているかのようで恐ろしい……。
■人面疽狩り
きれいな脚に人面疽が生えてしまったので切り取る美少女。
■私に鏡を見せないで
そっくりで美しい双子の姉妹の一方が事故で美貌を失い……と来れば、
結末は自ずと想像が――と思っていたら斜め上!
ウッカリ感動してしまった(←マジ)!!
これは壮絶な苦しみと孤独を味わったヒロインの願望なのか……。
■暗殺少女風香
暗殺者として父に技術と心得を仕込まれた風香の働きぶり。
「自分の体を大切にするんだよ」って、親父ィィィ(怒)!
■暗闇のサンタ
病身の母と二人暮らしの貧しい少年を見守る優しい少女、だが……。
■夜の踏切
自殺者を四名も出した魔の踏切に現れる幽霊を撮影しようと、
新聞部員が霊感の強いクラスメイトに同行を頼んだが……。
■老婆の予言
夜遅く、二人の少女が歩いていると街角に占い師。
ミサちゃんは日付が変わる午前0時に死ぬと予言され、
この場で自分がどんな死に方をするのか知りたいと言って留まったが……。
■久美が泣いている
親友の聡明な美少女・久美が何者かに惨殺された。
久美にストーカー紛いの付きまといをしていた兄が犯人かもしれないと
同級生に告げられた美緒は……。
■何かがおるんじゃ
家族と霊と悪意を巡るオムニバスストーリー。
■ファミリー
家族が偽物で、
何らかの目的で自分を育ててきたのだと担任教師に訴える少女。
身内をalien imposterだと思い込んだ妄想話かと思いきや……。
収録作には家族や親友など身近な人物および、
それらの人々との間に構築された関係への不信感が色濃く滲んでいて、
その辺りにも共感を覚えました。
私はホラーというジャンルが好きとは言っても、
まさに好き好(ず)きというか……
あの、別に特定の何かをdisるつもりはさらさらないのですけれども、
よくわからない怪物や殺人鬼が殺戮を繰り広げてブシャーッっていうだけ、
とか、
ハッと気づくとどこかに閉じ込められていて
殺し合いを強要されるだけだとか、そういうお話には興味がありません。
今回取り上げた作品のように、
一見普通(であるかに見える)人間の心の暗部にメスを入れるタイプの
ストーリーで、かつ、
最後に「おっ」と思わされるひねりが効いているのが好きなのです。
本作品集で言うと、終盤で(作品内)虚実が反転するかのような
「夜の踏切」「老婆の予言」が特に素晴らしかったです、以上。