下戸のくせに何故かタイトルに惹かれて古本を購入、
読了した『ウイスキー奇譚集』。
Amazonでの表記が「ウィスキー奇譚集」になっているが「ウイスキー」が正しい。
ベルギーのフラマン語圏出身で、
フランス語で小説を書いたジャン・レイ(レー)の
二つの怪奇幻想掌短編集「ウイスキーのコント集」「霧の中での物語」を収録。
それでいて、各作品の主要な舞台は霧に煙るロンドン……
という具合に捻じれている(ロンドン以外もあり)。
■ウイスキーのコント集(8編)
父を殺して床下に埋め、酒で気を紛らす男に、
新たな餌を求めて襲いかかる鼠と昆虫「復讐」他、
ウイスキーによる酔いから来る錯誤・幻想や、それらに纏わる怪談集。
■霧の中での物語(11編)
墓地管理者のアシスタントに採用された老人の恐怖体験「墓守の供述」が
思いがけない吸血鬼譚で拾いモノ。
マッドサイエンティストの異様な発明が惨劇を引き起こし、
その情景を遠く離れた場所で霊媒師が透視する――
というラヴクラフト風怪奇SF「パウケンシュレーガー博士の奇怪な研究」も
なかなか変(笑)。
アンソロジー『幻想の坩堝』収録、
闇と黒魔術に彩られた友情の物語「夜の主」(作者名表記はジャン・レー)の
印象に比べて軽くアッサリした口当たり。
ちなみに、読後、Wikipediaを覗いたら、
当人は酒は酒でもウィスキーでなくジンの中毒で亡くなった
――とあって、不謹慎ながら、ちょっと笑ってしまった(すいません)。