Romancer『掌編 -Short Short Stories-』に
書き下ろし掌編「双子 -fendu-」を追加。
思いついてから完成するまで二ヶ月もかかってしまった……。
山奥の寄宿舎での、双生児のようによく似た子供同士の戯れ――
といったところ。
あちらの目次をご覧ください。
カクヨムでは横書き版をお読みいただけます。
……「誰」の話をしているか、わかったヒトはエライぞ(笑)!
発表済の作品に登場するキャラクターの背景をチラッと描きたかったので、
自分の中では情報が多過ぎて、整理するのに手間取りました。
とはいえ、他人の空似という果汁を煮詰めたら、
どこから見てもそっくりな双生児のコンフィチュールにならないだろうか……
などと考えて書き下ろした――というのは、ちょっぴり嘘で(笑)
澁澤龍彦「空飛ぶ大納言」(『唐草物語』収録)を読んで以来
「蹴鞠の鞠は球体というよりフランスパンの一種に似た形らしい」
との情報を気にかけていたことが、執筆のそもそもの動機。
後に、そのパンの名前が「フォンデュ(fendu)」と判明したので、
「双子という名のパンのような同級生」の交歓を描いてみたのでした。
投稿後に読み返して、
ここしばらくの自作に比べると語り口がギクシャクしているというか、
料理に喩えると味に「カドがある」気がするのですが、
語り手の内心に巣食う不安や後ろめたさの滲出と捉えていただければ(平身)。
それでもどうにか、ひとまず
納得の行く“焼き上がり”かとホクホクしています。