深川夏眠の備忘録

自称アマチュア小説家の雑記。

ブックレビュー『ノディエ幻想短篇集』

復刊の告知に胸躍らせ、出るや否や購入したというのに、

それから一年以上も寝かせてしまったノディエ短編集を、ようやく読了。

 

ノディエ幻想短篇集 (岩波文庫)

ノディエ幻想短篇集 (岩波文庫)

 

 

フランス幻想文学の祖と呼ばれる
シャルル・ノディエ(1780-1844)の短編集、全6編。

 

 夜の一時の幻

 スマラ(夜の霊)

 トリルビー~アーガイルの小妖精(スコットランド物語)

 青靴下のジャン=フランソワ

 死人の谷

 ベアトリックス尼伝説


採集した民話を取り込んだような素朴なテイストあり、
夢の入れ子が織り成す、おぞましいタペストリーあり、
心の美しい者に対する優しい眼差しあり……といった趣。

 

偏執狂にして幻視者でもある18世紀ブザンソンの青年ジャン=フランソワの話

「青靴下のジャン=フランソワ」に、おお! と、のけぞった。


それにしても、ノディエが図書館館長に任ぜられ、最終的に

館内の住居で亡くなったというのは、少し羨ましい気がしないでもない。