読みかけのメモをTwitterに投稿したので、
その流れということで、
ロバート・F・ヤング繋がりで過去のブックレビューを転載。
『時の娘~ロマンティック時間SF傑作選』
- 作者: R・F・ヤング他,ジャック・フィニイ,中村融
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/10/10
- メディア: 文庫
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タイムトラベルを扱った中短編集で、表題作は有名なミステリ小説とは無関係。
収録9編の初出は1930年代後半から
1970年(を少し過ぎるくらい)までだそうで、
いずれも古きよき強く優しく懐の深いアメリカのイメージが横溢している。
編者のセンスのなせる業とはいえ、
やはり、いい時代だったんだろうなぁ……と、しみじみ。
以下、特にハートを鷲掴みにされた作品について。
■ウィリアム・M・リー「チャリティのことづて」
同じ町に住む現代(1965年)の少年と、265年前(1700年)の少女の心の交流。
二人は厚い時間の壁に隔てられ、決して触れ合うことはできない。
ムズムズするほど奥床しくてチャーミングなロマンティックSF!
■ジャック・フィニイ「台詞指導」
1960年代、ニューヨークで
40年前の禁酒法時代の映画を撮影するチームが
往時のスタイルの大道具・小道具を集めて準備していたら
時間の捩じれが起きて、40年前のニューヨーカーたちと接触、
その中の一人は……という、
フィニイらしい、優しさと残酷さが詰まった切ない佳品。
原題"double take"の意味は
意外な物事を見過ごし、または聞き流した後で気がついてハッと驚くこと。
まさにソレ!
■ロバート・F・ヤング「時が新しかったころ」
タイムマシンで白亜紀を調査するカーペンターは、
誘拐犯の手から逃れた火星人の姉弟マーシーとスキップを助ける。
長大な距離と時間を超えて成就した純愛に不覚にも落涙(!)。
■ロバート・M・グリーン・ジュニア「インキーに詫びる」
音楽評論家ウォルトン・アスターは
少年時代の愛犬インキーの死の真相やその他の真実を知るため、
過去へ遡ったが……。
覆面作家(正体不明)の技巧的な一品。