深川夏眠の備忘録

自称アマチュア小説家の雑記。

初めてのMidjourney✨

話題のMidjourney、ひとまず無料版に手を出してみました。

DISCORDのユーザーになって、

チャットボットにコマンドを投げつけると画像を生成してくれる、

ということで。

 

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どんなお題で練習しようかな……で、最初に思いついたのが、

映画『シークレット・ウインドウ』(2004年)主演時のジョニデ。

 

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別にファンではないし、原作も未読だし、

原作者のファンですらないのだけど、

たまたまテレビでオンエアされていたのを観て、

ストーリーも全然好みじゃないんだけども、

主人公モート・レイニーとしてのジョニデの顔にはグッと来たんですよね。

 

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ガチのファンの人に怒られるかもだけど、

彼の美貌はあそこら辺(40代のアタマ)がピークだったんじゃマイカ

 

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そのままでは芸がないので、和製モート召喚の呪文を唱えてみました。

 

【A】祝Midjourneyデビュー🎉

えーと💧アレレ💦

平たい顔×黒い髪で日本人味(み)が醸されているのはいいとして、

これはモートのおデコじゃないぞ(爆)!

モート・レイニーって言ったんだけどなぁ……

現在のジョニデのおデコを参照されてしまったみたいだ……(´・ω・`)ゞ

ところで、右下、眼鏡かけてないマツモトクラブさんかと思ったわ。

 

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ヒゲ生やしてくれって言ったからヒゲ面(ヅラ)なんですけど、

モートは眼鏡かけてるでしょうが!

ハイ、もう一度!!(⇒更新ボタンを押して、同じ呪文で再生成)

 

【B】一人だけサングラスだけど、後はナシ。

 

改まって眼鏡って言わないとわからないのか……ンゲッッ!

 

【C】コマンドにはヒゲとメガネが必要だったみたい。

【D】だが、これはもう全然ジョニデじゃない……。

 

あ、サイコキラーっぽくなっちゃいましたね(笑)。

 

ちなみに【A】【B】のコマンドは

a Japanese man with stubble looks like Johnny Depp as Mort Rainey

で、【C】は

a Japanese man with glasses and stubble looks like Johnny Depp as Mort Rainey

でした。

おデコを最新版リアルジョニデから遠ざけたかったので、【D】は

a Japanese man with glasses and stubble looks like Mort Rainey

にしてみたんですが、モートでも何でもなくなっちゃったし(トホホ)。

もしかして、短文ではなく、

熟語を(コンマ)で区切って羅列した方が狙いに近くなるのかなぁ。

 

そうそう、画像は個人ブログやtwitterでお披露目して差し支えないそうですが、

商用利用が可能なのは有料版のみ、とか。

 

今、気づきましたが、襟元が段々和服っぽくなっていった模様。

Japanese効果かな……。

 

妖怪談??

先にtweetした話題ですが、整えて、こちらにも。

 

 

 土曜夜の飲食店にて。

 賑わう店内、

 お腹がいっぱいになって飽きてきて帰りたいと思い始めたらしい子供が

 「パパ見てぇ」

 を連発。

 ありますよね、

 小さい子が、親たち大人が話し込んでいるのをやめさせたくて、

 割り込もうとする感じ。

 こちらには声が聞こえるだけ、立ち上がっても目視出来ない位置関係。

 繰り返される「ねえパパ見てぇ」

 ちなみに発音は「パパ見てぇ⤴」(伝わりますかね?)。

 絶え間なく繰り出される「パパ見てぇ」× もう何回目?

 それがおかしくてかわいくてププププ笑っていたのだけど、

 お会計の段になり、レジへ向かいがてら声がしていた方向を見やったら、

 大人&まだバブバブ言っていそうな赤ちゃんは確かに座っていたけれど、

 声からイメージされる3~5歳くらいの子供はいなかったのだ。

 そのときちょうどトイレにでも行っていたのでは?

 と思われるでしょうが、洗面所は当方の座席サイドにあり、

 我々の飲食中、誰も入ろうとしていた人はなし――。

 これは一体どうしたことか、

 声はすれども姿は見えぬ妖怪パパ見て小僧だったのか……。

 

かに炒飯、大変美味しゅうございました(-人-)🦀✨

 

お後がよろしいようで。

いや、よくないか。

 

 

ブックレビュー『サイコ』

(えー、毎度お馴染み、古い絶版本の話題でございます……)

 

fukagawa-natsumi.hatenablog.com

 

映画を観てからの原作本購入、読了。

ロバート・ブロック『サイコ』(PSYCHO,1959)の巻。

 

 

  (´・ω・`).。o○(あにょ……ポケミスの邦題、アカンっす)

 

気を取り直して。

作者は元々ラヴクラフトの弟子筋の人で、師匠の死後、

モダンホラー系に移行したといった趣き。

 

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私が読んだのはヒッチコックの映画のリメイク版公開に合わせて刊行された

新訳のようです。

 

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筋書きを知っているので叙述トリックミステリの一種として楽しんで読めた。

が、同時に、展開を把握しているが故に、

登場人物のまだるこっしいやり取りにイライラする場面も(笑)。

映画未見の人がいきなり読み始めたらモッサリしたオープニングに

げんなりするかもしれない。

 

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不動産事務所に勤めるメアリ・クレインは客から預かった金を拐帯。

その金があれば恋人サム・ルーミスとの結婚を早められると踏んでのことで、

彼女は彼の住む街へと車を飛ばした。

疲労困憊した彼女の目に飛び込んで来たのは《空室あり》という

モーテルのネオンサイン……。

 

映画は無駄を省き、大事な要素を上手く料理して、

テンポよく仕上げてあることがよ~くわかった。

 

それにしても、何がショックだったかって、ノーマン・ベイツは40歳で

デブでハゲだったんよ!(←コラやめろ差別表現だぞ💧)

全然アンソニー・ホ……あ、また間違えた、

アンソニー・パーキンス(当時28歳)じゃなかったんよ(笑)!!

ザコンでもpsychoでもいい、シュッとした二枚目であれば――

と思ったのに(おいおい)。

 

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そして、悲しい報告ですが、

無能な探偵はやっぱり原作でも無能でした(嗚呼……)。

 

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月の物語。

中秋の名月でございます。

www.nao.ac.jp

 

というワケで、拙作の中から月を主要なモチーフとするものをまとめた

《月の物語》をご紹介。

 

横書きでいいや、という方はカクヨムでどうぞ。

縦書き表示も可能ですが。

kakuyomu.jp

 

書いた本人はRomancerでのご閲読を推奨。

月と無関係の話も含まれますが。

romancer.voyager.co.jp

 

いずれにしましても、まだご覧になっていない方は、この機会に是非、

お月見の傍らに小さな物語をお一つ、いかがでしょうか。

 

 

ブックレビュー『この貧しき地上に』

ここで一区切りになりますかね、一人佐藤史生祭(笑)。

復刊ドットコムから出た『この貧しき地上に』を購入、読了しました。

 

 

SFの要素はあるが人間ドラマに重点が置かれた連作と、その他の作品、等。

耽美的だが至極クールなのは作者の頭脳明晰さのなせる業か。

 

この貧しき地上に:1982年『グレープフルーツ』第5号

 鹿能深生子(かのう・みおこ)と幼馴染みの最上安良(もがみ・やすら)は

 揃って名門大学に入学し、青春を謳歌するはずだったが、

 旅に出たまま帰らない安良の兄、

 天才の誉れ高かった清良(きよら)の問題が影を落としていた。

 両親の期待に応えるべく懸命に兄を真似る安良を痛々しく思う深生子は、

 婚約したいという彼の申し出を跳ね付けてしまう……。

 タイトルに出典はないようなので、

 例えば世を儚んでクノッソス宮殿の地下に籠もるくらいなら、

 貧しい地上で日の射す方へ歩いて行こうという

 ポジティヴなニュアンスを含んでいるのだろうか。

 若い男女が、崇敬の的だった行方不明の天才青年を追い続けるより、

 現実を見つめて幸せになろうと誓う清々しい物語。

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青猿記(せいえんき):1983年『グレープフルーツ』第12・13号

 「この貧しき地上に」後日談で、失踪した兄の側のストーリー。

 アメリカでゲームソフトをヒットさせ、巨万の富を得たものの、

 厭世観の強まった蓮見優(はすみ・ゆたか)は日本に戻り、

 郊外のコテージで静かに暮らしていたが、奇妙な居候の世話を焼いていた。

 本人は〈ミノ〉と名乗る以外、一切の記憶を喪失したと思しい美青年は

 クレタ島クノッソス宮殿跡で優と出会い、非合法な手段で日本へ。

 〈ミノ〉は見様見真似でプログラミングを学習し、

 優のやりかけの仕事を勝手に仕上げてしまうまでになっていた。

 〈ミノ〉の周りに現れる青い三匹の猿に驚く優だったが、

 〈ミノ〉はそれを古い友人の幻影だと言う。

 ちなみにブルー・モンキーというのはクノッソス宮殿の壁画で、

 絵として青く塗られているに過ぎず、

 青い毛の猿が実在したわけではないとのこと。

 優は〈ミノ〉に改変されたゲームの内容を確認するうち催眠状態に陥り、

 クノッソス宮殿で〈ミノ〉こと角を生やしたミノタウロスに出会った……。

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 優と〈ミノ〉はダブルベッドで共寝するので同性愛の関係と思われるが【*】

  彼らが社会の少数派に属すのは

 天才同士の特別な結び付きを確認するためのように映るし、

 愛し合っているというよりナルシシストが鏡を愛でている風に見える。

 ともあれ、常軌を逸した天才で、しかも出生の秘密を抱えて苦悩するは、

 特殊な才能を持ち合わせたが故に一般社会と折り合いをつけるのが困難な

 優という最良の理解者を得て心の迷宮を脱出した模様。

 【*】性的関係を持たない同居人同士なら、寝室は別々か、

    一緒であればシングルベッドを二つ並べて寝るのが普通と思われ……。

 

一陽来復(いちようらいふく):1984年『グレープフルーツ』第19号

 タイトルは「よくないことの続いた後にいいことが巡って来ること」

 あるいは「冬至」を指す。

dictionary.goo.ne.jp

 優と暮らす清良は最上商事社長としての父とその妻である母、

 そして次男=弟・安良を取り上げた雑誌の記事を読み、

 安良と深生子が婚約したことを知って心中複雑だったが、

 不思議な老人と出会って冬至のためのカボチャをお裾分けされた――。

 深刻な流れがここに来てほっこり、まったりするのダ!(しかも現実的)


おまえのやさしい手で:1983年『グレープフルーツ』第9・10号

 三上森介は秦野財団の次期総裁と目される御曹司・夏彦に気に入られ、

 秦野邸の居候に。

 屋敷には親戚の娘という花世も一緒に暮らしており、

 夏彦は彼女を『マイ・フェア・レディ』よろしく教育中だと

 冗談めかして紹介。

 当主・剛は森介を快く迎えたが、

 デザイナーである愛人の露木麻子を伴なっており、彼女以外眼中にない様子。

 森介‐夏彦‐花世の愛憎入り乱れる三角関係――だが……。

 どの作品に似ているとは言えないが、

 三島由紀夫風の風雅でありつつ同時に泥臭い愛憎劇。

 タイトルのネタ元は

 シオドア・スタージョン "The Touch of Your Hand"(1953:同邦題)か。

 しまった、未読だ!!

 

■緑柱庭園(エメラルド・ガーデン):1987年8月『吉祥花人』〔既述〕

 

とにかく情報量が多くて、ついて行くのが大変な3冊を通読。

ちゃんと読んで一応得心した自分を褒めてあげたい(なんちて☆)。

で、凡人目線でザックリしたまとめを述べるなら、

この本の収録作に共通するのは、

家族って、血縁って、面倒臭ぇな……ということではないかと。

血が繋がっているから、あるいは、戸籍上●●なのだから共助を――

と仰られてもね。

他人じゃないなら、それだけで無条件に愛情を感じられるかと言えば、

そんなワケなかろうよ、という気がする。

少なくとも押しつけは迷惑ですよ。

「この貧しき地上に」~「青猿記」~「一陽来復」では、

そんな軛から解放された者たちが

一対一の人間として誠実に向き合おうとするかのような近い未来を予感させる、

かな。

逆に「おまえのやさしい手で」では、

母を亡くして天涯孤独になったはずの主人公が

という呪いに絡め取られてしまう悲劇が描かれていて無惨。

いえ、すっっごく好みのテイストなんですけど(笑)。

 

嗚呼、満足じゃ。

そうそう、冬至にはカボチャを食べねばね🎃✨

 

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私家版と電子書籍のご案内。

改めまして、拙作既刊のご案内をば。

基本的にほったらかしの本拠地(ホームページ)に

一覧と無料のお試し読みコーナーがございますので、そのアナウンスです。

このブログをPCでご覧になっている方は先刻ご承知と存じますが、

もしかして、

スマホで見ると大事なサイドバーが表示されていないのでは……と、

今更ながら思い至ったので。

 

fukagawanatsumi.wixsite.com

 

↑ これ ↑ なのですが、これがまた、スマホで閲覧されている方には

何だかよくわからないこともあるらしい……と(かれこれ3ヶ月前に)

思い知らされましたので、単純なリンクも併せて貼っておきます。

 

private ed. | antiparadis

 

それでもダメなら、こっちだったらどうだ(笑)!(同じページですよ)

 

https://fukagawanatsumi.wixsite.com/antiparadis/private-edition

 

ということで、どうぞよろしくお願いいたします m(_ _)m 💕

 

ブックレビュー『羅陵王』

そう言えば読んでいなかったと、

ふと思い出した絶版本を中古で購入(1988年第2刷)。

しかし、目を通してみたら、

もしかして既に読んだことがあったのでは……という気がしてきた。

それはさておき。

1980年代半ばに発表されたSF短編、全4編収録、

佐藤史生羅陵王』の巻。

 

 

羅陵王(らりょうおう):1985年 LaLa12月号

 タイトルは雅楽の曲名で「蘭陵王」とも呼ばれる。

 中国・北斉の皇族・高長恭の諸侯王としての称号で、

 その武勇伝を題材とした舞楽を指す。

 獰猛な仮面で美貌を隠して戦に大勝した彼の勇姿を

 兵士たちが讃えた歌が由来とされる。

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 帝国評議会の名代、軍人上がりの役人モルテス青年は

 蝕市(ラーフ・シティ)へ赴き、

 租税として不老長寿薬〈アムリタ〉を取り立てようとしていたが、

 神殿の主レディ・トゥネ(見た目は幼女)は

 「アムリタは神の思し召しのままに生じる」と空惚け……。

 アムリタはインド神話に登場する神秘的な飲料の名で、

 飲む者に不死を与えるとされる。

 また、ラーフ(Rāhu)とは

 インド神話上のアスラ(魔)で「捕らえるもの」の意。

 神に化けてアムリタを口にしたため首を斬られたが、首だけが不死となり、

 自分の行いを神々に密告した太陽と月を恨んで

 日蝕や月蝕を引き起こすようになったという神話がある、とか。

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 モルテスはアムリタを盗み出したが、

 何故かレディ・トゥネは国外退去を命じただけで彼を罰そうとせず、

 都市を封鎖。

 その真意は――。

 疫病と性と長命の問題をSFの枠組みで、不老長寿の妙薬の秘密を

 優形(やさがた)を獰猛な面で覆った羅陵王に準え、

 しかも、たった40ページで描いた怪作。

 主人公の名モルテスはイタリア語などの死を意味する morte から

 採られたであろう。

 部下のゼロは文字通り零、

 虚無(それにしては剽軽なキャラクターというところが痛々しい)、

 随伴するアンドロイドのエルドリッチという名前は恐らく、

 P.K.ディック『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』において、

 彼が持ち帰ったドラッグが人々に不死と安寧を与えるところに

 由来するのだろう。

 ともあれ、使命として幼形のまま年老いるしかなかった童女

 自らを招き寄せるくだりが切ないな……。

 ところで、現在、我々を悩ます厄介なウイルスも、いつかは弱体化し、

 人類を益する存在となってくれるのだろうか(そう上手くはいかないか)……。

 

アレフ:1985年 グレープフルーツ第23号

 漫画家・徳永メイ原案、

 元のタイトルは「マーテル・ノストラ」(Mater Nostra=我らの母)で、

 これは脚注によると「完全自動制御受胎システム」。

 アレフ(aleph)はヘブライ文字の第一文字目。

 遺伝学者にしてカルト結社《パラディ》の主幹アンヌ・フレイに誘拐された

 ジェネティック研究所の重要人物〈アレフ〉を追って

 USE(ヨーロッパ合衆国)から日本へやって来た

 ジェイムズ・ハートマン博士(♀)。

 彼女は保安局主任アイ・シンに導かれ、おぞましくもいかがわしい歓楽街へ。

 裏社会のボスは《パラディ》の祭が終われば〈神様〉である〈アレフ〉は

 解放されるというのだが……。

 フェミニズムSFなのだが、何となく座り心地が悪いのは

 どのキャラクターにも感情移入できなかったせいかなぁ。

 

タオピ:1987年プチフラワー11月号

 漫画家・徳永メイ原案。

 ワシントンDC郊外の森に佇む合衆国超能力研究所。

 ユキことサイコ・クリニックのカウンセラー、アマミヤ・ユキオの帰還。

 17歳のPK能力者(サイコキノ)で性被害者の少女シンティは

 加害者を死に至らしめたが、その際の状況を説明出来る者がいないため、

 聞き取りを行えという所長。

 元女優だったシンティの母はネイティヴ・アメリカンで、

 父親(シンティの祖父)からのプレゼントだった〈子守り男〉の人形に

 タオピと名づけた由。

 〈子守り男〉は泣き止まない子供を殺して天国へ行けず、

 さまよい続けていると言われる部族の精霊で、

 シンティの分裂した自我がタオピの形を取って発現し、

 加害者に報復したらしいと察するユキオだったが……。

 ユキオは身体が男で心が女というよりは、

 GIDではないけれども男社会の空気やマチスモを嫌悪して

 女性の着ぐるみをまとっている風。

 男からの暴力に晒され、いかに身を守るべきか腐心する女と、

 女に近い立ち位置の男の共感と連帯の物語だが、

 去って行く精霊は最初から蚊帳の外といった印象で今一つピンと来ない。

 

緑柱庭園(エメラルド・ガーデン):1987年8月『吉祥花人』

 佐藤史生責任編集の

 オムニバス短編集『吉祥花人(ラクシュミー)』(白泉社)掲載作。

 モルディガール帝国の女帝シルドゥーンは

 殉職した近衛隊長の子カイルロッドを引き取り、

 自身の愛娘・皇女シルドラの兄として養育。

 カイルロッドは武勇の誉れ高い美青年に成長し、

 女帝に傅く数多の愛人の一人ともなったが、

 女帝は彼にシルドラの夫になれと命じ……。

 美しく残酷なお伽話。

 女帝は美女とは呼び難い容貌だが、

 恐らく権力とフェロモンで男を引き寄せていたと見える。

 カイルロッドは恩に報いる気持ちを恋愛感情にすり替えさせられてしまった

 犠牲者なのだが、彼を愛し救おうとしたシルドラに非情な仕打ちをしたのは、

 彼女が母親である女帝に似ていくのを防ぐため、

 また、永遠に妹として接したいがためだったのだろうか。

 そう考えると、

 普通に(健全に)年老いることを許されなかった女の悲劇という型が

 「羅陵王」のレディ・トゥネと共通するではないかと思える。

 

うーん、

原付(げんつき)じゃない史生センセイ単独オリジナル作の方が

断然好みだなぁ。

少々肩肘張り過ぎな感が苦手なのだと思う「アレフ」と「タオピ」。

時間を置いて読み返したら違う感想が出てくるかもしれないけれど。

私は多分、喧嘩腰じゃない

ニュルッと、あるいはフワッとしたフェミニズム物の方が好きなのだろう。

じゃあ例を挙げろと言われても困るけど(笑)。

 

さてさて、ここからちょいと「は? 何言ってんの??」と

詰め寄られかねない話に入りますね(汗)。

今般、史生ワールドを二冊続けて堪能して感じたこと。

ええい、牽強付会、上等だぜ(笑)!

あのね、もちろん作品によるけれども、

佐藤史生マンガと岡崎京子マンガは意外に似ておるで。

どこが?

の取り扱い方が。

性描写がまあまあ頻出する割りに、雰囲気が淡泊なのですな。

きっと作者が恋愛至上主義者ではないからだと察するぞ。

好き好き超大好き!

なんて言い合っているカップルが、その関係を確認する、

自身がパートナーをいかに慈しんでいるかを明らかにするための

身体表現としてのセックスというよりは、

生活の一部だから、いつもやっていることだから、

といった日常的な動作に過ぎないかのような淡々とした描き方、

それを崇高なものとして美化しない、みたいな態度が。

岡崎作品については時折、誤読している人の意見を見かけるけれどもね。

ともかく、性行為の描出が読者の劣情を刺激しないんですよ。

多分、登場人物たちがその時々の相手を一々好き好き超大好き!

とは思っていないからなのでしょう。

また、読者に対して、

「あなた方が純愛だの熱愛だのの表出と名指す行為なんて所詮こんなもん」

と、アイロニーをぶつけて来るかのようでもありますね。

性愛の相対化。

愛 ≠ セックス。

岡崎京子「3つ数えろ」(『私は貴兄〈あなた〉のオモチャなの』収録)より。

岡崎京子ヘルタースケルター』より。

佐藤史生「ネペンティス」より。

 

……と、駄弁を弄するのはひとまずこれくらいにしておきます。

 

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